カーシェアリング市場動向
2020年第三四半期:主要6社

主要6社合計車両台数は36,000台。ステーション数は18,300箇所。
伸び率は減少傾向。

カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」( http://www.carsharing360.com ) カーシェアリング市場を独自に集計したデータ(主要6社)によると、2020年第三四半期(2020年7月~9月)のステーション数は2020年6月末に比べ0.4%減少、車両台数は1.3%減少していることがわかった。

2020年第二四半期(対2020年第一四半期 ステーション数:1.0%増、同車両台数:1.0%増)に比べて、ステーション数、車両台数ともに減少傾向となった。

主要6社における合計ステーション数は18,326箇所、車両台数は36,061台。事業者別に見ると、変わらずタイムズカーシェアの独走が続いているものの、前期(79台増加)から転じ、今期は465台の大幅な減少となった。
車両台数が前期191台の増加であった第2位のカレコ・カーシェアリングクラブは、今期は168台増加となった。ステーション数は101箇所増加(2,540箇所)し、堅調に推移している。
前期68台増加だった第3位のオリックスカーシェアは今期車両台数を211台減らし、-2.1%の減少となった。
これまで、上位3社を中心に、ステーション拡大基調が続いてきたが、コロナ渦の影響もあってか、「タイムズカーシェア」と「オリックスカーシェア」の大幅減が影響し、減少傾向となっている。

その他の話題としては、タイムズカーシェアを運営するタイムズ24が、カーシェア等のサービスを利用できる法人専用カード「タイムズビジネスカード」の発行枚数が100万枚を突破したと7月に発表した。タイムズカーシェアは、他にもカーシェア車両としては初となる軽トラックを導入している。また、カレコ・カーシェアリングは、トヨタの新型ハリアーやジャガーI-PACEを導入。期間限定で、ジャガーXFスポーツブレイクも導入した。
上位3社話題以外では、NTTドコモが、茨城県大子町や茨城日産自動車とともに2020年10月1日~2021年9月30日までの間、AIを活用した乗合タクシー「AI乗合タクシー」とカーシェアリングを組み合わせた実証実験を行うことを9月に発表している。
新車種の導入や新たな実証実験の試みなどで、さらに利用しやすい環境になると予測されるカーシェアリング。 一方、コロナ渦が、カーシェア業界にどのような影響を与えていくのか、注視していきたい。

主要6社のステーション数、車両台数の推移は以下の通り。

1) サービス提供会社別 ステーション数推移(主要6社 2020.7~9)

2) サービス提供会社別 車両台数推移(主要6社 2020.7~9)

3) 都道府県別 ステーション数推移(主要6社 2020.7~9)

4) 都道府県別 車両台数推移(主要6社 2020.7~9)

【2020年第三四半期主要トピックス】

全国のステーション数・車両台数ともに前期より減少
大手三社で増加したのはカレコ・カーシェアリングのみ

上記の市場動向レポートと重複するが、主要6社の全国ステーション数・車両台数の合計で、2012年より「カーシェアリング比較360°」( http://www.carsharing360.com ) がカーシェア市場の集計を開始(2012年)して以来、初となる減少を記録した。今期、全国のステーション数合計は18,326箇所となり、前期の18,392箇所から66箇所の減少。今期の全国の車両台数合計は36,061台で、前期の36,536台から475台の減少となった。
減少の原因は、タイムズカーシェアとオリックスカーシェアの大手二社の減少によるもので、ステーション数ではタイムズカーシェアが154箇所、オリックスカーシェアが43箇所減らしており、車両台数ではタイムズカーシェアが465台の大幅減、オリックスカーシェアは211台減らしている。
対して、業界第2位のカレコ・カーシェアリングクラブは、ステーション数で101箇所増加(伸長率は4.1%)、車両台数で168台増加(伸長率は3.9%)しており、大手三社で唯一健闘を見せた。

法人専用カード「タイムズビジネスカード」が発行枚数100万枚を突破!
タイムズカーシェアは、軽トラックも初導入

タイムズカーシェアを運営するタイムズ24は、タイムズカーシェアや時間貸駐車場のタイムズパーキングなどを利用できる法人専用カード「タイムズビジネスカード」の発行枚数が100万枚を突破したと発表した。
また、タイムズカーシェアは、新車種としてスズキの軽トラック「スーパーキャリイ」を導入。同ブランドで軽トラックの導入は初となる。タイムズカーシェアによると、「スーオパーキャリィ」は8月7日から「タイムズロイヤルホームセンター南千住(東京都荒川区)」に配備された。

カレコ・カーシェアリングがトヨタの新型ハリアーなど新車種を導入!
ペットも同乗できるジャガーXFスポーツブレイクも期間限定で登場

カレコ・カーシェアリングクラブは、7月16日からトヨタの新型『ハリアー』を導入した。カレコ・カーシェアリングクラブがハリアーをカーシェア車種に初導入したのは、2017年3月。以降、ハリアーはカレコの全車両のうち現在では約28%を占める最も台数が多い車種となっている。また、カレコが2019年12月に実施した個人会員へのアンケートで、ハリアーは「乗りたい車種名」で1位を獲得するなど高い人気を誇っている。今回の新型ハリアーの導入は、こうした会員の声を反映したものといえる。
また、カレコでは、ジャガー初のフルバッテリー電気自動車(EV)I-PACEを9月3日より導入した。ジャガーI-PACEの車両価格は1,000万円前後であり、大手事業者においてカーシェアに車両価格1000万円前後のEVが導入されるのは国内初となる。
さらにカレコでは、ペットと同乗できるジャガーXFスポーツブレイクを8月1日から11月30日までの期間限定で導入した。

NTTドコモが、カーシェアの実証実験開始を発表!
AI乗合タクシーとカーシェアリングを組み合わせた新たな試み

NTTドコモが、茨城県大子町や茨城日産自動車とともに2020年10月1日~2021年9月30日までの間、AIを活用した乗合タクシー「AI乗合タクシー」とカーシェアリングを組み合わせた実証実験を行うことを9月に発表した。
AI乗合タクシーはスマートフォンアプリなどで予約すると、運行中のAI乗合タクシーをリアルタイムで配車する仕組み。利用者は乗降場所と乗車人数を選択するだけでAIが配車ルートを決定し、アプリやWEB上で乗車予定時刻を表示する。
大子町では、現在高齢化や人口減少が進んでおり、高齢者の移動手段の確保が大きな課題となっている。今回の実証実験では、AI乗り合いタクシーとカーシェアリング(利用料金100円~/15分)の導入で、大子町内での移動手段の確保を図り、交通インフラの維持を目指す。