カーシェアリング市場動向
2021年第一四半期:主要6社

主要6社合計車両台数は35,900台。ステーション数は18,000箇所。
車両台数・ステーション数ともに減少傾向。

カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」( http://www.carsharing360.com ) がカーシェアリング市場を独自に集計したデータ(主要6社)によると、2021年第一四半期(2021年1月~3月)のステーション数は2020年12月末に比べ1.0%減少、車両台数は2.3%減少していることがわかった。

2020年第四四半期(対2020年第三四半期 ステーション数:0.8%減、同車両台数:1.0%減)に引き続き、ステーション数、車両台数ともに減少傾向となった。

主要6社における合計ステーション数は17,987箇所、車両台数は34,887台。事業者別に見ると、変わらずタイムズカーの独走が続いているものの、前期(241台減少)に続き、今期は675台の大幅減少となった。
車両台数が前期222台の増加であった第2位のカレコ・カーシェアリングクラブは、今期は116台増加となった。ステーション数も堅調に51箇所増加(2,665箇所)している。
前期323台の減少であった第3位のオリックスカーシェアは今期車両台数を299台減らし2,688台、-10.0%の減少率となった。
2020年第二四半期まで上位3社を中心に、ステーション拡大基調が続いてきたが、コロナ渦の影響もあって、今期も「タイムズカーシェア」と「オリックスカーシェア」の大幅減が影響し、減少傾向となっている。

その他の話題としては、タイムズカーシェアを運営するタイムズモビリティが、2021年4月1日より「タイムズカーシェア」の名称およびサービスロゴを「タイムズカー」に変更すると発表した。また、オリックスカーシェアは、2021年3月1日から、カーシェアリングサービスに平日限定で乗り放題となる「個人平日定額プラン」を新たに導入した。定額プランの導入はカーシェア大手では初となる。カレコ・カーシェアリングは、新車種にトヨタ最高級ミニバンの「グランエース」を導入。今期もカレコは新車種の導入を積極的に行った。
上位3社話題以外では、個人間カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」を運営するDeNA SOMPO Mobilityが、クルマの鍵をスマートフォンで解錠できる「AnycaKEY(エニカキー)」を2021年3月から導入。現在は「AnycaKEY(エニカキー)」に最大300車種が対応していると発表した。
定額プランなどの新たなサービスや料金体系の改変などで、さらに利用しやすい環境になると予測されるカーシェアリング。 一方、コロナ渦が、カーシェア業界にどのような影響を与えていくのか、今後も注視していきたい。

主要6社のステーション数、車両台数の推移は以下の通り。

1) サービス提供会社別 ステーション数推移(主要6社 2021.1~3)

2) サービス提供会社別 車両台数推移(主要6社 2021.1~3)

3) 都道府県別 ステーション数推移(主要6社 2021.1~3)

4) 都道府県別 車両台数推移(主要6社 2021.1~3)

【2021年第一四半期主要トピックス】

タイムズカーシェアがタイムズカーに名称変更を発表!
利用料金も4月から改定し、6時間以上の利用で値下げへ

タイムズカーシェアを運営するタイムズモビリティは、2021年4月1日よりカーシェアリングサービス「タイムズカーシェア」の名称およびサービスロゴを「タイムズカー」に変更すると発表した。また、サービス名称の変更を機に、「タイムズカー」の料金体系を一部改定し、6時間を超える長時間の利用料金を平均28%値下げすることを発表した。
タイムズモビリティによると、タイムズカーは現在、約153万人の会員が利用しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大以降、都市部・住宅街などを中心に密を避けた移動手段として公共交通機関の代わりに利用されるなど、ニーズがさらに高まっている。タイムズカーでは、こうした利用ニーズに対して、多くの人にカーシェアサービスを利用してもらえるよう、サービス名称変更に合わせて料金を改定する。
料金改定後は、配備車両が最も多いベーシッククラス(15 分220 円)で、現行に比べ36 時間で約3,000 円、72 時間で約6,000 円値下げした料金となる。

オリックスカーシェアが平日限定乗り放題の新定額プランを導入!
月額固定での乗り放題プランは、カーシェア大手で初の取り組み

オリックスカーシェアは、2021年3月1日から、平日限定で乗り放題となる「個人平日定額プラン」を新たに導入した。カーシェアの月額固定での乗り放題プランは、カーシェア大手事業者で初の取り組み。
オリックスカーシェアの「個人平日定額プラン」は、平日の1乗車あたりの利用上限時間以内で、車種、走行距離、乗車回数に関係なく月額固定の定額で利用できるサービス。1乗車あたりの利用上限時間以内であれば、同日内でも何度も利用可能となっている。
「個人平日定額プラン」は、全国のステーションに配備する全車種が対象で、スマートフォンアプリから簡単に予約することができる。「1回あたり3時間以内」で9,900円(税込み)、「同6時間以内」で16,500円(同)と2種類の定額プランを用意している。
こうした新しいサービスを提供し続けるオリックスカーシェアは、J.D.パワージャパンが3月23日に発表した2021年日本カーシェアリングサービス顧客満足度調査の結果において、5年連続で総合1位を獲得した。

「Anyca(エニカ)」がスマホで開錠できる新システムを導入!
最大約300車種に対応し、個人間カーシェアの普及拡大へ

個人間カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」を運営するDeNA SOMPO Mobilityが、クルマの鍵をスマートフォンで解錠できる「AnycaKEY(エニカキー)」の提供を開始した。スポーツカー、高級車など最大約300車種が非対面でのシェアが可能となる。
個人間でクルマをシェアする「Anyca(エニカ)」では、これまでオーナーとドライバーが対面でクルマのシェア(受け渡し)を行ってきた。こうした対面でのクルマの受け渡しでは、オーナーとドライバー間でコミュニケーションが生まれ、リピートにもつながるといったメリットもあるものの、その一方で、対面だと「時間が合わない」、「面倒」といったデメリットもあった。B to C型カーシェアと比べ、対面での受け渡しがこれまで個人間カーシェアの普及のハードルとなっていたともいえる。
今回、「Anyca(エニカ)」がクルマの鍵をスマートフォンで解錠できる「AnycaKEY(エニカキー)」を導入することで、クルマのオーナーはシェアや返却のために直接対面対応する必要がなくなり、より多くのシェアを行うことが可能となる。また、利用するドライバーも「AnycaKEY(エニカキー)」を搭載しているクルマであれば、これまで以上に予約がしやすくなるというメリットがある。
また、今回開始する「AnycaKEY」の非対面でのシェアは、クルマに工事をして機器を取り付ける方式ではないため、オーナーにとっては導入しやすく、しかも最大約300車種に対応することを実現したため、多くの車種に導入が可能だ。
昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、非対面のニーズも高まっているが、こうした「AnycaKEY(エニカキー)」によって非対面化が実現され、より便利で安心してシェアが可能となった。
今回の「AnycaKEY(エニカキー)」の提供の開始によって、個人間カーシェアのさらなる普及拡大への道が開けたといえる。

カレコ・カーシェアリングがトヨタの最高級ミニバン「グランエース」を導入!
コロナ禍でも新車種の導入に積極的

カレコ・カーシェアリングは、3月12日から「セルリアンタワー(東京都渋谷区・地下3階駐車場)」ステーションにトヨタの高級ミニバン『グランエース』を導入した。
カレコは前期も。トヨタの燃料電池自動車(FCV)『MIRAI』やジャガーのスポーツカー『Fタイプ』などの新車種を積極的に導入したが、今期も積極的に新車種を導入。コロナ禍でタイムズカーシェアやオリックスカーシェアが車両台数を減らす中で、唯一カレコは車両台数を増やしている。