カーシェアリングは、よく「ガソリン代無料」といわれます。
確かに、レンタカーのようにガソリンスタンドで給油して自腹でガソリン代を払うということはありませんが、しかし、厳密にいうと、ガソリン代は無料ではありません。
カーシェアリングでは、多くの事業者で時間利用料金とは別に、ガソリン代として「距離料金」が設定されています。
距離料金は各事業者によって異なりますが、一般的に「16円/1km」くらい掛かります。
「16円なら安い」と感じられる方もいるかもしれませんが、積もり積もればかなりの額になります。
例えば、週2回(1回あたり平均15㎞利用)利用した場合、距離料金だけで1,920円/1ヶ月。
1年間で、23,040円になります。
これが、利用料金とは別に発生するのですから、決して「安い」とは言い切れないのではないでしょうか。
自動車市場で環境に配慮した低燃費車が人気を集めている現在において、週2回の利用で月1,920円のガソリン代はむしろ「高い」とさえ考える人もいるかもしれません。
ところが最近のカーシェア業界の流れでは、この距離料金を短時間利用(6時間まで)に限って無料にするという事業者が増えてきています。
今回は「最新カーシェア事情」として、「短時間利用での距離料金0円」に関するカーシェア事情をご紹介します。
タイムズカーシェアから始まった「短時間利用での距離料金0円」
もともと、この距離料金。
他の事業者に先駆けて6時間までの短時間利用で「無料」にしたのは、業界最大王手のタイムズカーシェアでした。
タイムズカーシェアは前身のブランド「タイムズプラス」の発足時(2010年6月)から「6時間まで距離料金0円」という料金体系を採用し、料金面でのアドバンテージとステーション数の多さを武器にシェアを拡大してきました。
ところがこうした状況に一矢報いるべく、カレコ・カーシェアリングクラブが2014年7月より利用6時間までの距離料金を0円にすることを発表。
現在では名古屋を拠点に200箇所以上のステーションを展開するカリテコも「6時間まで距離料金無料」を打ち出しており、カーシェアリング業界は「短時間利用での距離料金0円」の方向へシフトしているようにも思われます。
以前のブログ「カレコがまさかの料金再改定!6時間距離料金0円の威力!!」でも書きましたが、
この距離料金0円は、利用者にとってかなりのインパクトがあります。
「距離料金あり」の場合と「距離料金なし」の場合の利用料金(総額)の違い
どれくらいのインパクトがあるのかを感じてもらうため、タイムズカーシェアの料金プランをもとに「距離料金あり」の場合を仮定して現行の「距離料金なし」の料金と総額で比較してみましよう。
ちなみに、1時間あたりの走行距離は15kmとして試算してみました。
<「距離料金あり」の場合と「距離料金なし」の場合の利用料金(総額)の違い>
利用時間 | 距離料金あり」の場合 | 距離料金なし」の場合 |
1時間の利用料金 | 1,120円 | 880円 |
2時間の利用料金 | 2,240円 | 1,760円 |
3時間の利用料金 | 3,360円 | 2,640円 |
4時間の利用料金 | 4,480円 | 3,520円 |
5時間の利用料金 | 5,490円 | 4,290円 |
6時間の利用料金 | 5,730円 | 4,290円 |
表内の利用料金は、現在のタイムズカーシェアの料金プラン(ベーシック利用)を例として用いています。「距離料金あり」の場合は、信号の多い首都圏で1㎞を4分で走行すると想定し、現行の利用料金に16円/1㎞の距離料金がプラスされることを仮定して算出しています。また、ショート利用料金が、6時間パックより高くなる場合は、6時間パックの料金をもとに算出しています。
「距離料金あり」と「距離料金なし」で6時間利用した場合では、1,440円も差が出ます。
1,440円というと、1時間半も利用できる金額ですね。
この差額はかなりのインパクトがあるといえるのではないでしょうか。
「距離料金0円」はユーザーにメリットが高い!
「距離料金0円」。
これこそまさしくガソリン代無料といえるサービスだと思います。
ガソリン価格がとても高騰しているときには、かなりメリットが高いサービスですね。
現在、カーシェアリング比較360°に掲載している事業者で「距離料金0円」を採用しているのは、タイムズカーシェア、カレコ、カリテコの3ブランドに限られますが、ユーザーにとってメリットが高いサービスですので、今後、他事業者での導入にも期待したいところです。
長時間利用者には、デメリットになる場合も!?
短時間利用での「距離料金0円」は、確かにメリットの高いサービスですが、しかし、長時間利用者にとってはどうなのでしょうか?
6時間以上の長時間利用の場合、6時間以降から距離料金が発生するのではなく、利用した時間内に走行した全距離分の距離料金が発生します。
なので、利用時間が6時間を1分でも過ぎてしまうと、利用料金の総額がかなり変わってきてしまいます。
例えば、タイムズカーシェアで6時間利用した場合と6時間15分利用した場合とで料金(総額)を比較してみましょう。
利用条件は、上の表の<「距離料金あり」の場合と「距離料金なし」の場合の利用料金(総額)の違い>の条件と同様です。
ベーシッククラスの利用で、信号の多い首都圏で1㎞を4分で走行すると想定し、現行の利用料金に16円/1㎞の距離料金がプラスされることを仮定して算出しています。
<タイムズ6時間利用の場合と6時間15分利用の場合の利用料金(総額)の違い>
利用時間 | 6時間利用した場合 | 6時間15分利用した場合 |
利用料金 | 4,290円 | 4,510円 |
距離料金 | 0円 | 1,504円 |
総額 | 4,290円 | 6,014円 |
いかがでしょうか?
たった15分の利用時間の違いで、1,724円も高くなってしまいます。
この金額差を見ると長時間利用者のなかには、急に割高感が増したように感じられる方も多いのではないでしょうか。
実際に、記事「タイムズカーシェアは「高い」のか!?6時間以上の利用で加算される距離料金についての考察」でも書いたことですが、タイムズカーシェアの利用者の中には、「距離料金が高い」と感じている方も多いようです。
長時間利用者にとって、短時間利用での「距離料金0円」は決してデメリットとまでは言えませんが、しかし、割高感が増したように感じてしまうのも分かるように思います。
長時間利用者は、どうすればいいのか?
タイムズカーシェアの場合、タイムズブランドにレンタカーサービスを行っている「タイムズカーレンタル」があるため、「タイムズカーシェア」はあくまでも短時間利用のためのサービスという位置づけで、長時間利用の場合は「タイムズカーレンタル」を利用してもらいたいという意図があるものと思われます。
ですので、他のカーシェア事業者と比べると、6時間以上の料金設定は高めです。
しかし、タイムズカーシェアはいたるところにあっても、タイムズカーレンタルは拠点も少なく、タイムズカーシェアほど利便性に優れているわけではありません。
6時間以上の場合は、タイムズカーレンタルを使いたくても使えないという人がほとんどでしょう。
では、手軽で便利にカーシェアを長時間利用したいという方は、どうすればいいのでしょうか?
長時間利用の場合は、長時間利用に安いカーシェア事業者のサービスを利用するというのが、解決方法でしょう。
カーシェアは事業者によって料金体系は様々です。
タイムズカーシェアのように6時間までの利用に適している事業者もあれば、長時間利用の方がお得な事業者もあります。
長時間利用でお得な事業者は、例えばオリックスカーシェアです。
タイムズカーシェアとオリックスカーシェア(個人Aプラン)でコンパクトカーを12時間利用した場合と24時間利用した場合の料金を比較してみましょう。
オリックスカーシェアも距離料金は「16円/1㎞」とタイムズカーシェアと変わらないので、距離料金は除外します。
<タイムズカーシェアとオリックスカーシェアの長時間利用料金比較>
利用時間 | タイムズカーシェア | オリックスカーシェア |
12時間まで | 6,490円 | 5,200円 |
24時間まで | 8,690円 | 6,700円 |
オリックスカーシェア(個人Aプラン)でコンパクトカーを12時間利用した場合、利用料金は5,200円です。
タイムズカーシェアの利用料金(12時間)が6,490円ですから、1,290円も安くなります。
オリックスカーシェアも距離料金はタイムズカーシェアと同様「16円/1㎞」ですが、オリックスカーシェアの場合、12時間利用で80㎞多く走行して、タイムズカーシェアと同料金ということになります。
また24時間利用の場合ですと、タイムズカーシェアが8,690円であるのに対して、オリックスカーシェアなら6,700円です。
オリックスカーシェアの方が1,990円安く利用できます。
このようにカーシェア事業者には、短時間利用に適した事業者や長時間利用に適した事業者があります。
長時間利用でもカーシェアをお得に利用するためには、長時間料金が安い事業者を利用すればいいわけですね。
短時間利用での「距離料金0円」は、あたりまえか?
このように見てみると、カーシェアと一口にいっても、事業者によって料金体系が様々であることが分かります。
カーシェアは料金体系もサービスも、実に多様です。
確かに「短時間利用での距離料金0円」は多くの利用者にとってメリットの高いサービスですが、そもそも短時間で利用することがない人にとっては特にメリットがあるわけではないので、すべてのユーザーにとってメリットの高いサービスであるとは言えないでしょう。
従って、「短時間利用での距離用金0円」があたりまえになって、各事業者の料金体系が画一化していってしまうよりも、オリックスカーシェアのように短時間利用から距離料金が発生しても、長時間利用料金が安い事業者がいた方が、利用者全体のことを考えるといいのかもしれません。
でも、「短時間も利用するけど長時間も利用する」という方は、どうすればいいのでしょうか?
6時間未満の短時間利用でも6時間以上の長時間利用でも、カーシェアを賢くお得に使いこなすためには、「カード2枚持ち」(二つのカーシェア事業者の会員になる)が有効です。
例えば、オリックスカーシェアでは、月額基本料金無料の「個人Bプラン」もあります。
しかも、オリックスカーシェアでは利用する月に「個人Aプラン」に変更して、安い利用料金で利用することもできます。
また「個人Aプラン」⇔「個人Bプラン」の変更は月毎に何回でも可能ですので、利用しない月は「個人Bプランにしておくということも可能です。
カードを2枚持っておくと、急な必要が生じた時に、予約できる可能性が高まります。
2枚持っているだけで、「先に予約されていて、借りられないこともある」というデメリットもかなり解消されます。
「短時間も利用するけど長時間も利用する」という方は、ぜひカーシェアを賢くお得に利用するためにも、ぜひ「2枚持ち」を試してみてください!