世界新車販売台数で熾烈な戦いを繰り広げているトヨタ自動車とフォルクスワーゲン(VW)。
2014年暦年(1月~12月)の世界総販売台数では、1013.7万台のVWに対して、1023.1万台と約9万台の差をつけて世界トップを死守したトヨタでしたが、2014年度(2014年4月~2015年3月)の世界総販売台数では、1016.8万台にとどまったトヨタに対して、1018.4万台を記録したVWが僅差で初の世界No.1に立ちました。※
※世界総販売台数では、トヨタのダイハツや日野ブランド、VWのアウディやポルシェなど、グループ内の別ブランドの販売台数も含みます。
2013年度では、トヨタが1013万台であったのに対して、VWは986万台と、その差は27万台も開いていていましたが、2014年度では、2014年4月の消費税増税を受けて国内販売台数が伸び悩んだトヨタを、中国を中心に積極投資したVWが一気に抜き去る形となったといえます。
VWと言うと、ビートルやゴルフといった大衆車を思い起こされる方も多いと思われますが、グループ内に高級車の代名詞ともいえる「ポルシェ」、「アウディ」、「ランボルギーニ」、「ベントレー」といった別ブランドを持つVWは、2015年度もさらに躍進することが予測されます。
2014年には「アウディ」だけでも174万1100台を販売したVWに対して、「レクサス」は未だ約50万台と販売数で伸び悩むトヨタは果たして巻き返すことができるのか。
2015年もトヨタVSフォルクスワーゲンの頂上対決から目が離せそうにありません。
ところで、今回のブログのタイトルでもある「世界No.1自動車メーカー」は、総販売台数だけで決まるものではありません。
総販売台数も含め、ブランド価値や品質、環境技術などの総合力で勝る自動車メーカーこそ、「世界No.1自動車メーカー」の名にふさわしいと思います。
ということで、今回は総合力で勝る「世界No.1自動車メーカー」がどこなのかを見極めるために、様々な点から自動車メーカーのランキングを見ていきたいと思います。
マイカーの購入を考えている方は、判断の際の参考にしてください。
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その前に、まずはトヨタとVW以外のメーカーの2014年世界総販売台数も見ておきましょう。
トヨタとVW以外の新車販売台数は?
2014年度の販売数の発表は速報値ですので、速報値ではなく精確な数値が分かっている2014年暦年の総販売台数のランキングを見てみることにしましょう。
<2014年世界新車販売台数ランキング>
1位 トヨタ自動車グループ(日) 1023万台(3%)
2位 フォルクスワーゲングループ(独) 1014万台(4%)
3位 GMグループ(米): 992万台(2%)
4位 ルノー・日産グループ(仏・日) 847万台(3%)
5位 現代自動車グループ(韓) 771万台(5%)
6位 フォード(米) 632万台:(0%)
7位 フィアット・クライスラー・オートモービルズ(伊・米) 461万台(6%)
8位 本田技研工業(日) 436万台(2%)
9位 プジョーシトロエングループ(仏) 294万台(4%)
10位 スズキ(日) 288万台(7%)
※カッコ内は対前年比
トヨタ自動車グループの販売台数は、トヨタ自動車の915万台、ダイハツ工業の92万台、日野自動車の17万台の合計です。
2014年度ではVWに抜かれたとはいえ、やはり世界のトヨタは強いですね。
また、トヨタとVWに抜かれたとはいえ、GMも992万台と未だ自動車大国アメリカのトップメーカーの実力は健在です。
日本メーカーでは、世界中から「GT‐R」が注目されている日産自動車も頑張っています。
なお、ルノー・日産グループの販売台数の内訳は、ルノーグループが271万台、日産自動車が531万台、ロシアのアフトワズが45万となっています。
ホンダの436万台もさることながら、スズキがかなり健闘していますね。
世界新車販売台数ランキング10位中、日本の自動車メーカーがなんと4社もランクイン。
ちなみにトップのトヨタですが、2015年3月期決算(米国会計基準)で、売上高は前年比6.0%増の27兆2345億円であったと2015年5月8日に発表されました。
営業利益も前年比20.0%増で2兆7505億円。
なんと過去最高の営業利益を更新したそうです。
最終的な純利益は、前年比19.2%増の2兆1733億円でしたが、昨年来の円安基調を追い風に2年連続で最高益を更新。
国内上場企業では、はじめての2兆円超えを記録しました。
改めていうまでもありませんが、日本の基幹産業はやはり自動車産業なんですね。
ブランド価値が高い自動車メーカーは?
新車販売台数では、トヨタとVWがTOP2でしたが、ブランド価値の世界No.1自動車メーカーはどこなのでしょうか?
世界的なブランドコンサルティング会社のインターブランド社が、毎年、”ベスト・グローバル・ブランド”を発表していますが、昨年発表された”ベスト・グローバル・ブランド2014″を元に、自動車メーカーのブランド価値ランキングを見てみましょう。
<2014年自動車メーカーのブランド価値ランキング>
1位:トヨタ 4,239,200万ドル (+20%)[総合8位]
2位:メルセデス・ベンツ 3,433,800万ドル(+8%)[総合10位]
3位:BMW 3,421,400万ドル(+7%)[総合11位]
4位:ホンダ 2,167,300万ドル(+17%)[総合20位]
5位:フォルクスワーゲン 1,371,600万ドル(+23%)[総合31位]
6位:フォード 1,087,600万ドル(+18%) [総合39位]
7位:ヒュンダイ 1,040,900万ドル(+11%)[総合40位]
8位:アウディ 983,100万ドル(+27%)[総合45位]
9位:日産 762,300万ドル(+23%)[総合56位]
10位:ポルシェ 717,100万ドル(+11%)[総合60位]
※カッコ内は対前年比
“ベスト・グローバル・ブランド” (Best Global Brands)は、グローバルな事業展開を行うブランドを対象に、財務状況やブランド力などを総合的に分析し、そのブランドの価値を金額換算して1位~100位までランク付けしたものです。
ブランドを対象としたランキングですので、総販売台数ランキングのようにグループ会社ごとの総計ではありませんが、このランキングでも1位はトヨタでした。
しかもトヨタは、総合ランキングで見ても8位とTOP10入りの快挙を成し遂げています。
自動車メーカーランキング2位で総合10位のメルセデス・ベンツと比べると、805,400万ドルも差をつけていますね。
対してフォルクスワーゲンは5位ではありましたが、同グループのブランドであるポルシェが10位にランクインしています。
グループとしての総合力は強いと言えるのではないでしょうか。
また対前年比をみると分かるように、各ブランドともブランド価値が前年よりも上回っています。
日産は9位でしたが、4年前の同ランキングと比べて、約2倍もブランド価値がUPしました。
総販売台数で8位だったホンダはブランド価値では日産よりも上位の4位。
ホンダはハイブリッドに加え、水素自動車の開発にも取り組んでおり、環境技術の推進に力を入れている点が評価されたようです。
2015年からFIAフォーミュラ・ワン世界選手権に参戦し、マクラーレン・ホンダが23年ぶりに復活したことでも話題を呼んでいますが、今後さらにホンダのブランド価値は高まることが期待されます。
総販売台数ランキングと大きく異なる点は、シボレーやキャデラック等のGMグループのブランドがランクインしていないこと。
ルノーをはじめとするフランスのブランドもランクインしていませんね。
ちなみに、総合ランキングでの1位はアップル。
2位以下は、グーグル、コカコーラ、IBM、マイクロソフトと続いています。
品質が高い自動車メーカーは?
新車販売台数とブランド価値でトヨタがTOPに立ちましたが、品質の世界No.1自動車メーカーはどこなのでしょうか?
米市場調査大手JDパワー社が、2014年米国自動車初期品質調査(IQS)の検査報告を公表し、不具合の少ない順にランキング化しているので、その結果を見てみましょう。
<2014年自動車メーカーの生産工場別品質管理ランキング >
1位(プラチナ賞)
トヨタ自動車(カナダ・オンタリオ州ケンブリッジ•サウス工場):不具合12件
2位(ゴールド賞)
トヨタ自動車(日本・九州宮田工場 第1ライン):不具合18件
2位(ゴールド賞)
トヨタ自動車(日本・九州宮田工場 第2ライン):不具合18件
4位(ブロンズ賞)
日産(日本・栃木工場):不具合19件
5位(シルバー賞)
GM(カナダ・オンタリオ州インガーソル工場):不具合20件
6位(ブロンズ賞)
BMW(アメリカ・サウスカロライナ州スパータンバーグ工場):不具合21件
7位(ゴールド賞)
ポルシェ(ドイツ・ライプツィヒ工場):不具合26件
8位(シルバー賞)
ダイムラー(南アフリカ・イースト・ロンドン工場):不具合27件
9位(ブロンズ賞)
アウディ(ドイツ・ネッカーズルム工場):不具合28件
このランキングは、2014年2月から5月までの間、米国で販売されている自動車の生産工場144ヶ所について、86,000人以上の新車購入者などを対象に、購入後90日間の品質上の不具合を調査・集計し、製品の品質などを評価したランキングです。
このランキングでは、順位とは別にそれぞれ賞が設けられているのですが、各賞は順位別にではなく地域別に割り当てられているため、アジア・太平洋地域でブロンズ賞であった日産が欧州・アフリカ地域でゴールド賞を獲得したポルシェよりも順位が上になるという奇妙な事態が生じてしまっています。
このような奇妙な事態は、日本のメーカーおよび日本の工場が上位を独占してしまったがために生じたことで、日本の自動車メーカーの品質の高さを物語っているといえるでしょう。
それにしても、1位から3位までの上位を独占したトヨタはすごいですね。
4位の日産も大健闘です。
ブランド価値ではランキング外だったGMは5位に。
VWグループのポルシェとアウディもしっかりランクインしています。
なお、同調査では、各自動車メーカーの耐久品質も分析し、ランク付けしています。
耐久品質のランキングも紹介しておきます。
<2014年自動車メーカー 耐久品質ランキング>
1位:ポルシェ(不具合74件)
2位:ジャガー(不具合87)
3位:レクサス(不具合92)
4位:ヒュンダイ(不具合94)
5位:トヨタ(不具合105)
6位:シボレー(不具合106)
7位:キア(不具合106)
8位:BMW(不具合108)
9位:ホンダ(不具合108)
10位:リンカーン(不具合109)
こちらはブランドごとの順位になっています。
結果は、VWグループのポルシェが堂々の1位でした。
トヨタは品質の耐久性では5位と振るわず。
同グループブランドのレクサスが3位と健闘しています。
ちなみに日産(120)は残念ながら圏外に。
最下位はフィアット(206)でした。
環境技術No.1の自動車メーカーは?
最近では水素自動車や燃料電池自動車など、環境への負荷を減らした自動車の開発に各社とも力を注いでいますが、では環境技術No.1の自動車メーカーはどこなのでしょうか?
残念ながら、世界中の自動車メーカーの環境技術をランク付けしたデータはなかったのですが、日本ではWWFジャパンが2015年2月24日に「企業の温暖化対策ランキング」の報告書を発表しています。
この報告書では、自動車メーカーやそのサプライヤーを中心する日本企業28社を調査し、100点満点で温暖化対策に対する取り組みに対して点数化・順位づけをしています。
参考までに紹介しておきます。
<2015年国内自動車メーカー(その他)の温暖化対策ランキング>
1位:日産自動車 87.5点
2位:本田技研工業 70.4点
3位:豊田合成 65.5点
4位:トヨタ自動車 63.9点
以下、マツダ、スズキと続いています。
第1位の日産自動車は、調査対象の重要7指標中、長期的ビジョン、再生可能エネルギー目標、ライフサイクル全体での排出量の開示など計5つの指標で満点を獲得し、2位以下の企業に大差をつける結果となったようです。
これまでの成績を鑑みるとトヨタ自動車の4位というのは、ちょっと予想外の結果(?)ですね。
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世界No.1自動車メーカーはどこなのか?
さて、「新車販売台数」、「ブランド価値」、「品質」、「環境技術」という4つの点から、No.1自動車メーカーのランキングを見てきたわけですが、世界No.1の自動車メーカーはどこだと言えるでしょうか?
トヨタとVWはグルーブの別ブランドも含めて、「新車販売台数」だけでなく、様々なランキングで上位にランクインしていました。
特にトヨタは国内の「温暖化対策ランキング」でこそ4位であったものの、他のランキングではほとんどTOPを獲得していました。
こうした結果を踏まえると、現状ではトヨタが世界No.1自動車メーカーであると言えるでしょう。
しかし、この世界No.1は2014年の調査を踏まえたものでしかありません。
今後、順位はどう変化するのか。
トヨタは現在の順位をキープできるのか。
世界の自動車市場における今後の競争がいまから楽しみですね。
乗り心地&満足度で世界No.1の自動車自動車メーカーは?
マイカー購入を検討されている方は、参考になりましたか?
とはいえ、利用者にとって一番大事なのは、販売台数でもブランド価値でもなくて、「乗り心地」や「満足度」だと思います。
では、利用者視点に立ったクルマの乗り心地&満足度で世界No.1の自動車メーカーはどこなのでしょうか?
しかし、それは乗る人によって変わってくる問題。
実際に、ご自身でお試しになって判断していただくしかありません。
「すべてのメーカーのクルマに乗ることなんて無理」という声が聞こえてきそうですが、すべてのメーカーのクルマは無理でも、カーシェアリングを利用すれば、国内メーカーのクルマはもちろん、フォルクスワーゲンをはじめとする、多くの海外自動車メーカーのクルマにも乗ることができます。
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しかも、カーシェアリングならカーディーラーで試乗した後に経験するような、営業プッシュに会うこともありません(笑)。
ご自身のペースで、クルマの性能を確かめることが可能です。
<参考記事> 試乗車にも使える!カーシェアリングの賢い活用法【1】 | カーシェアリング比較360° 公式ブログ
マイカーの購入を検討されている方は、ぜひカーシェアリングを賢く試乗車代わりに利用して、満足のいくクルマをご購入してください!