マイカーと比べて購入費や維持費の出費がなく、24時間いつでも使いたいときに使いたい時間だけ利用できるカーシェアリング。
そんなお得さと便利さが話題を集め、2010年に15,894人であった利用者は、2021年には2,245,156人に(※)。
11年間でなんと約141倍にも増加しました。
<参考> カーシェアリング市場動向 – 2020年総括版:主要6社 2020年主要トピックス | カーシェアリング比較360°
※出所:交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」
現在も利用者が順調に増え続けていますが、「便利でお得な」カーシェアリングはつねにベストな選択であるわけではありません。
良いこと尽くしに見えるカーシェアリングにも、実はデメリットはあります。
<カーシェアリングの5つのデメリット>
- ①乗り捨てできない
- ②予約時に返却時間を設定しなければならない
- ③先に予約されていて借りられないこともある
- ④長時間利用すると距離料金が高い
- ⑤レンタカーと異なり、月額基本料がかかることがある
とはいえ、こうしたデメリットもちょっとした工夫で解消・軽減することが可能です。
今回は、カーシェアリングのデメリットとその解消法についてご紹介します。
<参考> カーシェアを利用する前に知っておきたいこと | カーシェアリング比較360°
デメリット① レンタカーのように「乗り捨て」できない
これまで何度かブログでも検証してきたように、カーシェアリングはレンタカーと比べて便利でお得に利用することができます。
カーシェアリングがレンタカーよりもメリットが大きいポイントは3つあります。
1、保険の補償内容はレンタカーより充実!&万が一事故を起こしても免責額は0円!
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2、大手レンタカー会社に比べて、利用料金が圧倒的にお得!
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【レンタカーとはぜんぜん違うカーシェアリング2】
3、キャンセル料は基本1時間前まで無料!(各社で違いはあります)
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しかし、すべてにおいてレンタカーよりもカーシェアリングの方が優れているかといえばそうではありません。
レンタカーでは出発した営業所と異なる営業所で返却できるサービスがありますが、カーシェアリングでは基本的に出発地と異なるステーションへ返却することはできません。
つまり、カーシェアリングには、「乗り捨て」できないというデメリットがあるのです。
例えば、引っ越しや遠隔地へ荷物を運ぶ目的で利用する場合、できれば目的地で「乗り捨て」したいところですが、カーシェアリングは荷物を運んだあと、クルマを返すためだけにわざわざ出発ステーションへ戻らなければなりません。
従って、かなりの時間的なロスが生じることになります。
しかも、出発ステーションに返却するとなると、往復分の時間料金が発生するわけですから、時間のロスだけでなくコスト面でのロスも生じてしまいます。
カーシェアリングでは「乗り捨て」できないことで、利用者に不利益が生じてしまうこともあるのです。
<参考> レンタカーやマイカーとなにが違うの? | カーシェアリング比較360°
デメリット①の解消法~カーシェアとレンタカーを目的・シーンで使い分ける
カーシェアリングはあらゆるシーンや目的に適しているわけではありません。
引っ越しや荷物を運ぶ場合では、やはりレンタカーの方がお得です。
とはいえ、カーシェアリングがベストな選択である場合も多くあります。
例えば、買い物や送り迎えなどの普段利用では、「乗り捨て」の必要がないため、カーシェアリングの方がレンタカーよりも断然お得で便利です。
また、旅行で利用するなら、レンタカーよりもカーシェアリングの方がお得です。
例えば、某大手レンタカーで丸3日間ホンダのステップワゴンを借りたとします。
非会員の場合なら51,700円。会員なら46,530円です。
まあ妥当な料金と言うべきでしょうか。
しかし、長時間利用でお得なオリックスカーシェアで丸3日間(72時間)同じステップワゴンを利用した場合はどうなるでしょうか(個人Aプランの場合)。
カーシェアリングなら、25,200円で利用できてしまうのです。
レンタカーの非会員料金の約1/2の料金ですね。
もちろんカーシェアリングでは利用料金のほかに距離料金も発生しますが、レンタカーでもガソリン代は別途かかりますので、その点は同条件。
旅行に行くなら、圧倒的にカーシェアリングを利用した方がお得です。
レンタカーとカーシェアリングには、用途によって向き不向きがあります。
ですので、「乗り捨て」できないデメリットを解消するためには、目的やシーンに合わせてレンタカーと使い分ければよいでしょう。
ちなみに、すべてのカーシェアリングサービスで「乗り捨て」ができないわけではありません。
2014年9月の車庫法の運用変更に伴い、現在では一部地域で「乗り捨て」できるカーシェアリングサービスも開始されています。
大手カーシェアリング事業者のなかでは、現在「都市部~空港」間に限って、空港で乗り捨てできるサービスを行っている事業者もあります。
<参考:カーシェアリング比較360°「カーシェアを利用する前に知っておきたいこと」>
今後、こうしたサービスが拡大していけば、カーシェアは今よりも断然利用しやすいサービスになると思われます。
<参考> カーシェアリングはレンタカーより便利? | カーシェアリング比較360°
デメリット② 予約時に返却時間を設定しなければならない
カーシェアリングは“シェア”である以上、クルマを独占することはできません。
当然のことですが、次に使う人のためにも予約時に設定した時間内に返却しなければなりません。
しかし、実際にカーシェアを利用してみるとわかることですが、前もって返却時間を予測・設定するというのはなかなか難しく悩ましい問題です。
たとえ予定がきっちり決まっていたとしても、交通状況などの様々な不確定要素があるからです。
予定が明確に決まっていない場合は、なおさら難しいと言えます。
なので、だいたいの予定を立てて、その時間よりも少し長めに予約しておくという方々がほとんどなのではないかと思います。
しかし、特にショート利用の場合、長めに予約していても、返却時間が決まっていることで、利用中の行動の自由が制限されてしまうというデメリットがあります。
例えば、買い物で利用していた時に、買い物先でばったり友人と出会ったとします。
本当はゆっくりお茶でもしたいところですが、1時間余裕をみて予約していたとしても、どこかで「返却しなきゃ」という思いがちらついて、「ゆっくりお茶」という気分にはなかなかなれません。
気軽に予定を変更するというのは、なかなか難しいと言えるでしょう。
もちろん、利用中でも手続きを行えば、利用時間を延長することは可能です。
しかし、次に予約している人がいる場合には、延長することはできません。
そのため、カーシェアリングは、例えば待ち時間が読めない病院や役所などへの移動手段として利用するには不向きであると言えるでしょう。
<参考> こんな時に使えるからカーシェアは便利 | カーシェアリング比較360
デメリット②の解消法~タイムズ、カレコなら迷わず6時間予約する
「返却時間」の問題はレンタカーも同様なので、デメリット①のように使い分けることによって解消できる問題ではありません。
カーシェアリングを利用する際は、やはり返却時間を予測し、時間の余裕を見て予約することしかできません。
その意味では、根本的なデメリット解消法は存在しないといえるでしょう。
しかし、最近は利用者にとっての利便性が重視され、状況はだいぶ改善されてきています。
以前は予約時間より早く返却したとしても、予約した時間分の料金が請求されるという事業者がほとんどでしたが、現在、タイムズカーやカレコでは、6時間までのショート利用の場合、実際に利用した時間分の料金だけしか請求されません。
つまり、これまでは「2時間の利用予定だけど、余裕を見て3時間予約していた」という方でも、タイムズとカレコなら使った分だけの料金でいいので、迷わず6時間予約しておくということができるわけです。
オリックスカーシェアの場合は、利用時間ではなく予約時間に対して課金されますが、しかし、タイムズやカレコよりも長時間利用料金が安く設定されています。
6時間パックは、個人Aプランの場合、業界最安料金の3,700円です。
ですので、複数枚カードを持ち、長時間利用する場合はオリックスカーシェア、6時間までならタイムズカーかカレコと利用時間によって使い分けるというのもカーシェアの賢い使い方だといえます。
<参考> カーシェアリングを価格で比較! | カーシェアリング比較360°
デメリット③ 先に予約されていて借りられないこともある
以前のブログでも書きましたが、カーシェアリングは一台のクルマをシェアして利用するので、借りたいときにいつでも必ず予約できるわけではありません。
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特に週末は平日と比べて予約か取りづらいというステーションもあるようです。
つまり、カーシェアリングは「24時間いつでも使いたいときに使いたい時間だけ利用できる」といっても、それは先約がいない場合に限られるわけです。
従って、子供の送り迎えや通学・通勤などで、毎日決まった時間に必ず使いたいという人にとっては、カーシェアリングは不向きかもしれません。
おそらく、マイカーがベストであると言えるでしょう。
<参考> レンタカーやマイカーとなにが違うの? | カーシェアリング比較360°
デメリット③の解消法~カードを2枚持ちする
「同じステーションの同じクルマを毎日必ず使いたい」というなら、カーシェアリングでは難しいと言わなければなりません。
しかし、「毎日決まった時間に使いたい」ということでしたら、解決できないこともありません。
方法は2つあります。
<毎日決まった時間に使う方法>
- 早めに予約する
- 予約で埋まっている場合は、近くのステーションのクルマを予約する
これだけの簡単な方法ですが、おそらくほとんどのエリアで「毎日決まった時間」にクルマを使うことができると思います。
ちなみに、タイムズカーとオリックスカーシェアは2週間前から、カレコならなんと2か月前から予約できます。
早めに予約しても、タイムズカーとカレコなら利用開始時間の直前までにキャンセルすれば料金は発生しないので安心です。
オリックスカーシェアでも予約開始時間の1時間前までにキャンセルすれば料金は発生しません。
しかし、それでも予約が取れないということはあるでしょう。
また、急にクルマが必要になった場合には、そもそも「早めに予約する」という方法は使えません。
他のステーションを探しても、既に予約されているということもあり得ます。
そんな時の選択肢として有効なのが、以前もブログで紹介したカード2枚持ちです。
つまり、2社に会員登録しておくということです。
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カードを2枚持っておくと、急な必要が生じた時に、予約できる可能性が高まります。
2枚持っているだけで、「先に予約されていて、借りられないこともある」というデメリットは、かなり解消されます。
「月額基本料を2倍も多く払うのはちょっと」という方には、例えば、オリックスカーシェアの個人Bプランがベストでしょう。
個人Bプランは、月額基本料無料です。
もしもの時の1枚として、力を発揮してくれると思います。
また、最近ではカーシェア市場に自動車メーカーも参入してきているのですが、中でもホンダ エブリゴーは注目です。
ホンダ エブリゴーもオリックスカーシェア同様、月額基本料金無料で利用できますので、もしものためにカード3枚持ちしてもいいかもしれません。
<参考> 入会するにはどうすればいい? | カーシェアリング比較360°
デメリット④ 長時間利用すると距離料金が高い
タイムズカーを利用する場合、6時間までは距離料金が無料ですが、6時間を超える場合、利用開始時からの走行距離に対して距離料金「16円/1㎞」が課金されてしまいます。
そのため6時間未満のショート利用に比べて、6時間を超えると利用料金が割高になってしまうというデメリットがあります。
タイムズでは以前、6時間パック+6時間延長で予約すると、12時間まで距離料金無料で乗れたので、当時から利用している方には、利用料金がかなり高くなったという印象をお持ちの方も多いかもしれません。
そのため、カーシェアは6時間未満までの利用には適していても、長時間利用には適していないと考え、6時間以上カーシェアを利用することに躊躇してしまう利用者もいるのではないでしょうか。
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6時間以上の利用で加算される距離料金についての考察
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【レンタカーとはぜんぜん違うカーシェアリング2】
デメリット④の解消法~長時間料金が安いカーシェア事業者を利用する
カーシェアは事業者によって料金体系は様々です。
タイムズカーは料金体系の改正により、以前よりも長時間利用の料金が安くはなりましたが、タイムズカーよりも長時間利用がお得な事業者もあります。
例えば、オリックスカーシェア(個人Aプラン)でプリウスを24時間利用した場合、利用料金は7,700円です。
タイムズカーの利用料金(24時間)が8,800円ですから、1,100円も安くなります。
オリックスカーシェアでも距離料金「16円/1㎞」は発生しますが、24時間利用で68㎞多く走行しても、タイムズカーと同料金ということになります。
このようにカーシェア事業者には、ショート利用に適した事業者や長時間利用に適した事業者があります。
「長時間利用すると距離料金が高い」というデメリットは、長時間料金が安い事業者を利用すれば解消できると言えるでしょう。
6時間未満のショート利用でも6時間以上の長時間利用でも、カーシェアを賢くお得に使いこなすためには、「デメリット③解消法」でも示した「カード2枚持ち」(二つのカーシェア事業者の会員になる)が有効です。
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オリックスカーシェアでカーシェアリングを賢く利用する♪
デメリット⑤ レンタカーと異なり、月額基本料がかかることがある
カーシェアでは、一般的に月額基本料金がかかります。
例えば、代表的なカーシェアサービスであるタイムズカーも、利用料金以外に毎月、月額基本料金が発生します。
そのため、「月額基本料金」はレンタカーにはないカーシェアの特徴の一つであるといえるでしょう。
この月額基本料金は、実際にカーシェアを利用する際の利用料金として充当することができます。
例えば、利用料金「220円/15分」のタイムズカーを3時間利用した場合、880円の月額基本料金は、1時間分の利用料金と相殺され、2時間分の利用料金しか発生しないということです。
そのため、ひと月に何時間もカーシェアを利用するユーザーならば、月額基本料金はそれほど気にならない料金であるといえます。
しかし、「月に1度利用するかしないか」というライトユーザーにとっては、880円といえども見過ごせない金額です。
カーシェアを月に一度も利用していなくても、月額基本料金880円を払わなければならないからです。
仕事などで忙しくて、たまたま半年間カーシェアを利用できなかったならば、何も利用していないのに半年で5,000円以上も料金を支払うことになります。
単月で見たら880円でも、決して安い出費であるとはいえないことでしょう。
それ故、月額基本料金は、カーシェアライトユーザーにとってデメリットということになります。
デメリット⑤の解消法~月額基本料0円のプランやカーシェアに変更する
では、「月に一度使うか使わないか」というカーシェアライトユーザーは、無駄な出費を抑えるためにも、カーシェアサービスを今すぐ退会するべきなのでしょうか?
しかし、いざという時にクルマが使えるカーシェアの便利さや使い勝手の良さを知ってしまったあとでは、たとえライトユーザーといえども、なかなかカーシェアをやめるというのは難しいと思います。
では、どうすればいいのでしょうか?
それには、極めてシンプルな解決方法があります。
「月額基本料金0円」のカーシェアという選択です。
月額基本料金というデメリットは、月額基本料金が「0円」のカーシェアサービスに入会すればかんたんに解消できます。
最近は新しいカーシェアサービスが次々と生まれ、なかには「月額基本料金無料」を謳っている事業者もあります。
例えば、自動車メーカーホンダが運営するホンダエブリゴーやコスモ石油のやさしいカーシェアは月額基本料金0円です。
ホンダエブリゴーには、ホンダファンには嬉しいホンダの最新車種に乗れるというメリットもあります。
またクルマの解錠・施錠にはご自身の免許証を使うので、ICカード発行手数料(初期費用)も無料というメリットもあります。
コスモ石油のやさしいカーシェアも、クルマのドアの解錠・施錠に免許証を使用するので、ICカード発行手数料(初期費用)も0円です。
また、個人間カーシェアで知られるAnyca(エニカ)も月額基本料金が0円です。
Anycaには、個人間カーシェアだけでなく、Anyca独自のB to C型のカーシェアリング・サービスであるAnyca officialシェアカーも運営しています。
もちろんAnyca officialシェアカーも月額基本料金は無料です。
Anycaはスマホアプリをダウンロードして情報を登録するだけで簡単に利用できます。
初期費用も無料です。
また、オリックスカーシェアやカリテコ、カレコのような老舗のカーシェアサービスにも月額基本料金プランがあります。
オリックスカーシェアには、「個人Aプラン」と「個人Bプラン」の2つのプランがありますが、「個人Bプラン」は月額基本料金が「無料」です。
「個人Bプラン」の利用料金は、「個人Aプラン」に比べて若干割高になりますが、オリックスカーシェアではプラン変更を月単位でできるので、利用しない月は「個人Bプラン」、利用する月は「個人Aプラン」といった使い方をすれば、とてもお得に利用できます。
愛知・東京・神奈川などでカーシェアサービスを展開しているカリテコは、月額基本料金無料の「チョコ乗りプラン」を用意しています。
Suicaなどの交通系ICカードをお持ちであれば、初期費用も無料になります。
このように現在では、月額基本料金0円のカーシェアサービスやプランが様々にあります。
「月額基本料金がかかる」というデメリットは、「月額基本料金0円」のカーシェアサービスに変更するだけで解消できますので、「また今月も利用しなかったのに月額基本料金を払わなければならない」という方は、無駄な出費を抑えるために、すぐにでも変更を検討することをおすすめします。
<参考:カーシェアリング比較360° 初期費用+月額基本料0円プランのご紹介 | カーシェアリング比較360°>
<参考:カーシェアを気軽にはじめるなら!「月額基本料0円」プランがおすすめ!>
まとめ~効果的に使いこなすためにも、カーシェアリングの特性を理解する
「カーシェアリングはとってもお得で便利」という言葉を信じて入会してみたものの、実際に利用してみるデメリットとして挙げたように「使いたいときに予約が取れなかった」などというケースがないわけではありません。
カーシェアリングの効果を最大限発揮するためには、カーシェアリングの特性を理解して利用することが必要です。
これから入会を考えている方も、既に入会されている方も、ぜひデメリットを理解した上で、カーシェアをお得&便利に使いこなしてください。