
ステーション数・車両台数ともに過去最高を記録
地方展開とEV導入が成長を後押し、料金改定の影響にも注目
カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」(https://www.carsharing360.com)が独自に集計したデータ(主要5社)によると、2024年12月時点のステーション数は2023年12月時点に比べ18.6%増加、車両台数は23.1%増加しました。
この伸びは、2023年の成長率(ステーション数は16.4%増、車両台数は22.7%増)を上回り、市場拡大を示す力強い成長と言えます。
特にタイムズカーシェアと三井のカーシェアーズが引き続き市場成長を牽引しました。タイムズカーシェアはステーション数を24.7%、車両台数を28.5%増加させ、都市部での利便性向上を図りました。三井のカーシェアーズもステーション数を4.7%増、車両台数を8.8%増と堅調な成長を見せています。一方、業界第3位のオリックスカーシェアはステーション数が9.9%、車両台数が13.0%減少に転じました。
市場全体のステーション数は27,000箇所を超え、車両台数は6万台目前となりました。利用者数も順調に増加し、2024年6月時点で約470万人がカーシェアを利用、今年中には500万人に達すると予測されます。
この成長を支えた要因には以下が挙げられます:
- 地方展開の強化:主要各社が地方都市や観光地でのステーション増加に注力。
- EV車両の導入拡大:電気自動車(EV)の積極導入により、環境意識の高い利用者層を取り込み。
- ガソリン価格の高止まり:自家用車の維持コストが増加し、カーシェアの利用がコスト削減手段として選ばれる傾向。
一方で、料金改定の影響にも注目が集まっています。タイムズカーシェアや三井のカーシェアーズが一部の距離料金を引き上げつつ、ステーション数・車両台数ともに増強し、利便性の向上や地域拡大を進めました。
総括すると、2024年のカーシェア市場は都市部だけでなく地方都市や観光地での利用促進が進み、ステーション・車両数ともに過去最高を記録しました。EV導入や利用者層の多様化が市場をさらに押し上げる一方で、今後も料金改定が与える影響について注視する必要があります。2025年に向けては、地域別の利用動向や各社の新たな施策が市場にどのような影響を与えるかが注目されます。
上記と重複する内容もありますが、2024年のカーシェア業界トピックスは以下の通りである。
【2024年主要トピックス】
1. ライドシェア連携と新たな利用形態の拡大
2024年、カーシェア業界は大きな転換期を迎えました。4月のライドシェア部分解禁を皮切りに、業界の枠を超えた革新的なサービスが次々と登場しています。
最も注目されるのは、タイムズカーとUberによる日本初の取り組みです。9月4日から11月30日までの期間限定で、東京23区、武蔵野市、三鷹市を対象にカーシェア車両を活用したライドシェアの試験運用が実施されました。このモデルでは、トヨタ「シエンタ」やスズキ「ソリオ」といった車種を使用し、ロイヤルリムジンがドライバーを雇用、タイムズモビリティが車両を提供、Uberが配車アプリを通じてサービスを展開しました。この取り組みは、深刻化するドライバー不足の解消と移動の利便性向上に大きく寄与すると期待されています。
一方で、レジャー用途でのカーシェアも急成長を遂げています。特にキャンピングカーのレンタルやカーシェアが人気を集めており、Carstayは会員数が6万人を突破。過去最高の売上高と予約数を記録しました。インバウンド需要の増加や長期休暇での利用拡大が背景にあり、年末年始の予約数は前年比180%増という驚異的な伸びを示しています。世界的には、キャンピングカーレンタル市場が2024年に38.5億ドル規模に達し、今後も年平均7.58%で成長すると予測されています。
さらに、業界では新しい試みも登場しています。「Mobi Lab.」は独自製造のキャンピングカーをカーシェアに導入するだけでなく、DIYスペースの提供やキャンピングカーの製造・改造・修理サービスも展開。また、テント付きの普通車「アウトドアカー」の登録を開始するなど、アウトドア愛好家向けの特化型サービスも拡大しています。
これらの新たな取り組みは、多様化する消費者ニーズに応える形で、カーシェア市場のさらなる拡大と進化を後押ししています。2024年は、カーシェア業界がモビリティサービスの枠を超え、新たな価値を創造し始めた転換点として、記憶に残る年となるでしょう。
2. 地方展開の加速とEV導入の推進
主要各社は地方都市や観光地でのステーション数を大幅に拡大し、地域特性に応じたサービスを展開しています。同時に、EV車両の導入も加速しており、主要各社がEV専用サービスを開始。充電インフラの整備も進め、環境志向の利用者を積極的に獲得しています。これらの取り組みは、カーシェア業界の成長と環境への配慮を両立させる重要な戦略となっています。
特に観光地での展開が注目されており、以下のような事例が見られます:
- 箱根町:箱根町、箱根町観光協会、パーク24が包括連携協定を締結し、「はこねカーシェア」を開始。「レール&カーシェア」を推進し、交通渋滞の緩和と観光振興を図る。
- 長野市:三井のカーシェアーズが2024年9月に長野市内で3カ所のステーションを新設。
- 十日町市:「大地の芸術祭」開催期間中に、道の駅でカーシェアリング車両2台を設置する社会実験を実施。観光二次交通の拡充が目的。
これらの取り組みは、地方自治体と民間企業が連携し、地域の特性に合わせたカーシェアサービスを展開する新たな動きとして注目されています。
3. 顧客満足度の課題
一方で、J.D. パワーの2024年カーシェアリングサービス顧客満足度調査によると、市場全体の総合満足度スコアが前年比で低下しました。総合満足度スコアは690ポイントで、前年から12ポイント低下。特に「各種料金」と「サービスメニュー」の評価が大幅に低下しており、一部のカーシェア会社による優待サービスの廃止やポイント還元率の変更が影響したと考えられます。この顧客満足度の低下は業界全体の課題となっており、各社の対応が注目されています。
これらのトピックスから、2024年のカーシェア業界は新たなサービス展開や地方・環境への取り組みを通じてさらなる進化を遂げる一方で、顧客満足度の維持という課題にも直面していることがわかります。
【免責事項】
※このデータは、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)が独自に収集したデータをもとに構成されています。
※各カーシェアリング提供会社の公式発表データではありませんのでご了承ください。
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