カーシェアリング市場動向
2021年第三四半期:主要6社

主要6社合計ステーション数は18,305箇所と前年並みに回復。
車両台数は36,000台と微増程度だが、埼玉県・神奈川県は伸長。

カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」( http://www.carsharing360.com ) がカーシェアリング市場を独自に集計したデータ(主要6社)によると、2021年第三四半期(2021年7月~9月)のステーション数は2021年6月末に比べ2.8%増設、車両台数は、0.3%増車であることがわかった。

2021年第二四半期(対2021年第一四半期 ステーション数:1.0%減、同車両台数:3.3%増)のステーション数は減少に転じたが、今期は再び増加し、2020年第三四半期並みまで回復した。一方、車両台数は都道府県によって状況は異なるが、全体数では微増に留まった。

主要6社における合計ステーション数は18,305箇所、車両台数は36128台。事業者別に見ると、ステーション数において前期に大幅減少であったタイムズカーが今期増加に転じ、331箇所増設した。車両台数については、約90台の減車となったが、不動の業界第1位に変わりなく、独走状態が続いている。
車両台数が前期227台増車であった第2位のカレコ・カーシェアリングクラブは、今期は175台増車し、ステーション数も堅調で、135箇所増の2,933箇所と3,000箇所達成目前となった。
前期146台減車した第3位のオリックスカーシェアは、今期も車両台数を10台減らし2,532台と-0.4%となったが、ステーション数については、19箇所増設した。

今期のカーシェア業界トピックスとしては、オリックスカーシェアが料金改定とサービス内容を変更。カレコ・カーシェアリングは名古屋市内で本格サービス開始し、10月から仙台市内・福岡市内・広島市内におけるサービス提供も発表。またトヨタの新型FCEV「ミライ」を導入するなど引き続きサービスの積極展開をみせた。
上位3社話題以外では、Anyca(エニカ)が、「Anyca Official シェアカー」として代官山T-SITEにスープラとGクラスを配備し、商業施設駐車場のカーシェア活用を本格開始するなど新しい試みをはじめるなどのニュースもあった。
コロナ禍において、例年とは異なるインフラの増減状態がつづくカーシェア業界であるが、公共交通機関を代替する非対面の移動手段として再注目を浴びている。今後、さまざまな利用者ニーズに対応したサービス提供へ向けて、各社の動きはますます活発になっていくことだろう。

主要6社のステーション数、車両台数の推移は以下の通り。

1) サービス提供会社別 ステーション数推移(主要6社 2021.7~9)

2) サービス提供会社別 車両台数推移(主要6社 2021.7~9)

3) 都道府県別 ステーション数推移(主要6社 2021.7~9)

4) 都道府県別 車両台数推移(主要6社 2021.7~9)

【2021年第三四半期主要トピックス】

オリックスカーシェアが料金改定とサービス内容を変更

10月1日より、オリックスカーシェアが料金プランの一部改定とサービス内容の変更を行った。
料金プラン改定の主な内容は、「6 時間以内の予約・利用の距離料金 16 円/kmの無料化」・「予約取消手数料の予約開始時刻前までの無料化」・「夜間パックの2時間繰り上げ」・「一部車種のミドルクラスからスタンダードクラスへ移行」・「プライムステージプログラムの優待サービスの特典追加」であり、利用者によってメリットあるものとなった。一方、料金改定については、月額基本料金840円が880円に変更され40円UP、利用料についても車種クラス毎にばらつきはあるものの全体的に値上げとなった。 (参考記事:「オリックスカーシェアがサービス内容を改定【2021年10月~】料金体系も改定でオリックスカーシェアはどう変わるのか?

Anyca(エニカ)が、商業施設駐車場のカーシェア活用を本格開始
代官山T-SITEにスープラとGクラスを配備

株式会社DeNA SOMPO Mobilityが運営する個人間カーシェアサービスAnyca(エニカ)は、商業施設の駐車場をカーシェアに活用する施策を本格的に開始した。「Anyca Official シェアカー」として代官山T-SITEにトヨタ スープラとメルセデスベンツ Gクラスが配備され、AnycaKEY(エニカキー)を使って非対面でクルマの受取・返却が可能。商業施設の駐車場にAnycaの高級車を配備することで、店舗の付加価値向上や来店誘導が見込めることから今後は、キャンプ用品店にSUV、紳士服にスポーツカー、ホテルに高級車などそれぞれの施設の業種やロケーションにマッチした車両提供を進めて展開していく模様。

カレコ・カーシェアリングが名古屋市内で本格サービス開始!
地方都市へのエリア拡大に積極姿勢

カレコ・カーシェアリングは、8月23日から名古屋市内で本格的にサービスを開始した。これまで東海地区においては、名鉄協商カリテコとの連携による限定的な展開であったが、自社運営で約30カ所のステーションを開設し、2017年の関西圏進出以来のエリア拡大を図った。スバル「レヴォーグ」、マツダ「ロードスター」、トヨタ「新型ハリアー」などSUVタイプやスポーツカーなどを中心に人気車種を導入し、全車両への安全装備(自動ブレーキ、ドライブレコーダー、バックモニター)も完備。豊富な車種ラインナップを武器に、東海三県在住の個人ユーザーの囲い込みを推進している。
また、10月からは、仙台市内・福岡市内・広島市内にてサービスを開始。2021年10月末までに、仙台市内では19か所、福岡市内では24か所、広島市内では22か所のステーションを開設する計画のようだ。

カレコ・カーシェアリングがトヨタの新型FCEV「ミライ」を導入!
今期も新車種の導入に積極的

カレコ・カーシェアリングは、8月26日から東京都内3箇所のステーションにトヨタの新型FCEV「ミライ」を導入した。「セルリアンタワー(地下3階駐車場)」・「新宿サブナード(地下駐車場)」・「六本木ティーキューブ駐車場(地下1階駐車場)」に設置された車両は、車種クラス「プレミアム」として利用が可能。
既に2020年10月に従来型ミライを導入していたが、今回のFCEV導入により、計12車種のFCEV・EV・ハイブリッドカーを利用できることになった。カレコは前期も「首都圏と関西圏のステーションにレクサス「NX」と「UX」を導入したが、今期も積極的に新車種を展開。今期は名古屋市内への進出も開始され、車両台数も増加したカレコは、引き続き積極的に新車種を導入していくことが予想される。