車両台数は、前年より約5,000台増加!
ステーション数も、前年より約2,000箇所増加!
ステーション数・車両数とも、前年同様の高い伸長率で安定成長を持続!
カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」(https://www.carsharing360.com)が、カーシェアリング市場を独自に集計したデータ(主要5社)によると、2019年12月時点のステーション数は2018年12月時点に比べ13.2%増加、ステーション車両台数は15.9%増加していることがわかった。
2018年の対前年伸長率(ステーション数:14.2%増加、ステーション車両台数:19.0%)に比べて、2018年はステーション数、ステーション車両台数ともに伸長率が若干低かったものの、順調に拡大が続いている。また2018年と同様、ステーション数に比べると車両台数の伸長率が大きく、ステーション単位での利用者数や利用頻度は引き続き増加しているものと思われる。
カーシェアの利用者数は2019年6月時点で160万人を突破し、2019年中に180万人に達したものと思われるが、詳細な実数については、公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団発表を待ちたい。
主要6社のステーション数は17,000箇所を突破し、2018年12月末から約2,000箇所増加した。また車両台数は約5,000台増加しており、35,000台を超えた。
各サービス提供会社の状況としては、2018年7月に会員数100万人を達成した首位「タイムズカーシェア」が2019年も好調を維持し、ステーション数13,017箇所、車両台数27,457台にまで増やした。業界2位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」は、前年と比べステーション数で16.1%増、車両台数で20.7%増となり、昨年と比べると拡大の勢いは落ち着きを見せたものの、主要6社の中ではステーション数、車両台数ともに最大の増加率あった。
また、2019年は消費税増税に伴って、各事業者がサービスの変更を伴う料金改定を行ったことも大きなトピックであった。(「消費税増税に伴う各事業者の動き」についてはこちら)。この料金改定に合わせて、利用者視点のサービスを新たに追加する事業者も見られるなど、2019年も特に上位3社が業界をけん引し、サービス内容の充実化に注力した。これにより、消費者にとってはますますカーシェアリングを利用しやすい環境が整ったといえる。
2019年は、ステーション数・車両台数ともに2018年同様の高い伸長率で安定成長を持続した年でもあった。 上記と重複する内容もあるが、ここで2019年を総括してみよう。
【2019年主要トピックス】
1.ステーション数は13.2%、車両台数は15.9%伸長!
前年同様の高い伸長率を持続し、市場はますます成長
2019年は、ステーション数と車両台数の増加で、前年同様の高い伸長率を持続し、ステーション数が前年比13.2%増加、車両台数が15.9%増加と順調に拡大は続いており、市場はまだ成長期が続いていることがうかがえた。
急激なインフラ拡大期を終え、カーシェアリング市場自体が安定成長期に入った2013年以降は、各サービス提供会社とも利用ニーズの高いエリアにおいてドミナント方式による新規ステーション開設や、一ステーションあたりの車両増設へとシフトしていったが、2019年は「タイムズカーシェア」が前年同様インフラ拡張を継続(ステーション数伸び率14.0%、車両台数伸び率16.2%)、「カレコ・カーシェアリング」は「タイムズカーシェア」以上の伸長率でステーション数・車両台数を増加(ステーション数伸び率16.1%、車両台数伸び率20.7%)、「オリックスカーシェア」は前年(ステーション数伸び率6.4%、車両台数伸び率6.7%)を大幅に上回る伸長率(ステーション数伸び率11.3%、車両台数伸び率13.9%)で増加し、三事業社ともにインフラ拡大傾向を示した。
2020年までに車両台数30,000台を目指す「タイムズカーシェア」だけでなく、それに追随する「カレコ・カーシェアリングクラブ」や「オリックスカーシェア」も積極的にステーション数と車両台数を増加していることから、2020年も2019年同様ステーション数と車両台数はともに増加がつづくものとみられる。
2.カーシェア利用者数全体では160万人を突破!
200万人へカウントダウン!
ステーション数・車両台数共に業界トップを走る「タイムズカーシェア」の会員数は、2019年3月に117万人に到達したことが分かった。「タイムズカーシェア」の会員数増加はまだまだ続いており、2019年中に120万人を突破することが見込まれる。また、「オリックスカーシェア」は、2019年3月時点で会員数が約23万人となり、2018年3月から約4万人増加した。会員数では業界第3位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」は多様な車種の導入と「スマートで楽しいライフスタイル提案」という独自路線により、2019年3月時点で会員数が11万8千人、2019年中に12万人に達したものと予想される。これにより、大手三社だけで会員数が155万人に到達し、名鉄協商のカリテコとホンダ エブリゴーを含めた主要5社では160万人を突破したものと思われる。業界全体では、2019年末段階で180万人程度ではないだろうか。(交通エコロジー・モビリティ財団の発表によると、2019年3月時点でのカーシェアリング会員数は業界全体で1,626,618人とのこと。)
これにより日本の人口に占める会員数の割合は2018年3月の1.18%から1.34%まで上昇した。かつてのカーシェアリング後進国であった日本は、いまや世界第1位のカーシェアリング普及国としてカーシェリング最先進国のスイス(1.31%、2012年時点)を抜き去ったものと思われる(※注)。
会員数の増加では、2019年も単年で約20万人を増やした「タイムズカーシェア」の独走状態となったが、「オリックスカーシェア」と「カレコ・カーシェアリングクラブ」も健闘しており、この2事業者が首位「タイムズカーシェア」を追いかけるという上位三強の図式に変わりはない。
こうした3強体制は2020年も継続すると思われ、三事業者を中心に会員数も増加傾向で推移していくものと予測される。2020年は、業界全体で200万人到達へのカウントダウンが始まったと言えるだろう。
※参考:交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」
3.消費税増税に合わせて各社ともに料金を改定!
消費者目線の新たなサービスを開始する事業者も!
2019年10月1日より10%に引き上げられた消費税の増税に伴い、タイムズカーシェア、オリックスカーシェア、カレコ・カーシェアリングクラブの大手3事業者はサービスの変更を伴う料金改定を行った。
タイムズカーシェアは料金体系を改定し、車両クラスをベーシック、ミドル、プレミアムと3分類に分け、これまでのパック料金の代わりに利用時間に応じた「最大時間料金制」を新たに設定した。また、ショート料金の名称を「時間料金」に変更した。これまでは、予約時に「ショート利用」か6時間以上の「パック利用」を選択する必要があったが、パック料金の代わりに新たに設けられた「最大時間料金制」によって、予約時に利用時間を指定するだけで自動的に最大時間料金が適用されるようになった。なお、6時間以上利用した場合、利用開始時からの走行距離に対して16円/kmの距離料金が課金される。
オリックスカーシェアは、車種クラスの変更を伴う料金改定を行った。これまでは、「スタンダードクラス」と「デラックスクラス」の2クラスであったが、今回車種クラスの構成を見直し、「スタンダードクラス」および「デラックスクラス」の一部車種を移行させた「ミドルクラス」を新設した。「個人Aプラン」の一般会員の場合、クラス別の料金は「スタンダードクラス」が「210円/15分」、「ミドルクラス」が「250円/15分」、「デラックスクラス」が「310円/15分」と設定された。また、 IC カード発行手数料が1,050円に改定、個人Aプランの月額基本料は、980 円(税込)から 840 円(税込)に値下げされた。なお、昨年改定されたスタンダードクラスの 12 時間・24 時間パック、および距離料金は据え置きされた。
カレコ・カーシェアリングクラブは、新車種クラスへの移行ならびに料金改定を行った。「新車種クラスへの移行」では、これまでの「コンパクトクラス」が「ベーシッククラス」に名称変更され、さらに「ベーシッククラス」の車種がこれまでのノートヴィッツなどからコンパクトカー、コンパクトSUV、小型ミニバンに変更、「ミドルクラス」の車種がセダン(プリウス)、SUV(ハリアー)、ミニバン(VOXY)などからSUV、中型ミニバン、セダンに変更、「プレミアムクラス」の車種がスポーツカー、大型SUV、メルセデス・ベンツなど大型ミニバン、輸入車に変更、「プレミアムプラスクラス」の車種がボルボから希少車種に変更された。また、「料金改定」では、月会費無料プランの場合「ベーシッククラス」(旧コンパクトクラス)の通常料金「160円/10分」が「170円/10分」に、「ミドルクラス」の通常料金「190円/10分」が「200円/10分」に、「プレミアムクラス」の通常料金「290円/10分」が「330円/10分」に、「プレミアムプラスクラス」の通常料金「550円/10分」が「620円/10分」に改定された。通常料金の改定に合わせて、各クラスのパック料金も改定された。
今回の各社の料金改定は、例えばタイムズカーシェアの「最大時間料金制」など、利用者視点のサービスも新たに開始されたことから、単なる「値上げ」ではなく、サービス内容の充実化にもつながったといえる。
4.DeNA SOMPO Mobilityが「Anyca Officialシェアカー」のサービスを開始!
カーシェア用の自動車を無料で貸与!
DeNA SOMPO Mobility(以下、DSM)は5月に、オーナーが一定回数無料で利用できる新たなカーシェアリングサービス「0円マイカー」の事業を始動することを発表した。そして、8月にサービス名称を「0円マイカー」から「Anyca Officialシェアカー」と改め、都内でサービスを開始した。
新サービス「Anyca Officialシェアカー」はDSMが用意したカーシェア車両を、オーナーが自らの駐車場で管理し、この車両を一般ユーザーが無人で借り受けるというサービス。オーナー側には駐車場相当額と利用料の一部をポイントとして還元し、オーナーはこのポイントの範囲内で、車両を無償で利用できる。
8月のサービス立ち上げ時点では15台を配備したが、車両の用意などができ次第、都内9区(港区、江東区、渋谷区、世田谷区、中央区、品川区、目黒区、新宿区、中野区の主要エリア)で40台体制に拡大する計画とのこと。DSMは今後ユーザーの反応を確認しながら、対象エリアの拡大なども検討していく考えだ。新たなカーシェアリングサービスの今後の展開に注目が集まっている。
5.自動車メーカー各社がカーシェア市場に続々参入!
サービスは各社で多種多様!
今年、スズキとダイハツ東京が新たにカーシェアリング市場に参入することを発表した。自動車メーカーでは、既にトヨタ、日産、ホンダが参入しており、今回参入を発表したスズキとダイハツを合わせると、メーカー5社がカーシェアリングサービスを提供することになった。(※ダイハツ広島は、既にカーシェアサービスを提供している。)
スズキは本格的な事業参入に向けて、まずスマートバリュー、丸紅とともに大阪府豊中市のスズキ四輪車販売店や周辺駐車場を使った郊外型カーシェアリングサービスを実証実験という形でスタートさせた。実証実験では、スマートバリューが開発したシェアリングサービス向けのプラットフォーム「Kuruma Base」を活用してカーシェアサービスを構築し、スズキの販売店周辺地域のシェアリング駐車場に「ワゴンR」や「ソリオ」などの軽・コンパクトカーを配置する。販売会社のスズキ自販近畿・アリーナ豊中でもカーシェアサービスを導入した。
また、ダイハツ東京はダイハツ東京本社併設の「Dモール月島店」など駅近隣に店舗を構える一部店舗でサービスを開始した。ダイハツ東京の試乗車などを有効活用し、管理顧客らを中心に有償で一定期間貸し出した。ダイハツ車に〝チョイ乗り〟できる機会を増やすことで「ダイハツファンを増やす」狙いもある。そのため、カーシェア用の車両は、人気の高い新型「タント」やスポーツタイプの「コペン」を用いている。
いち早くカーシェア事業に乗り出したホンダは、「エブリ・ゴー」を2017年11月にスタート。東京と横浜からサービスを開始し、現在は大阪でもサービスを行っている。取り扱い車種は軽自動車からミニバン、セダンまで幅広く、一部のステーションでは燃料電池車の「クラリティフューエルセル」も配置している。 18年1月から「eシェアモビ」を始めた日産は、取り扱い車種を電気自動車「リーフ」とハイブリッド車「eパワー」に絞っているのが特徴だ。しかも、上位グレードを配置することで、電動自動車の魅力を訴求する狙いがある。2019年9月時点で全国に535台を配備しており、自動車メーカーの中ではもっとも多い。
一方トヨタは、販売店改革の一環としてカーシェア事業を位置づけている。現時点では実証実験の段階であるが、入会金と月会費は無料、利用料金も他社に比べて割安に設定している。現在は都内が中心だが、広島や福岡などエリアが広がっており、近く全国展開する方針だ。
自動車メーカーの相次ぐ参入で、カーシェアリング市場はますます多種多様化の様相を呈している。
【免責事項】
※このデータは、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)が独自に収集したデータをもとに構成されています。
※各カーシェアリング提供会社の公式発表データではありませんのでご了承ください。
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