ステーション数・車両台数共に、前年より微増にとどまる!
コロナ禍の影響か!?
カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」(https://www.carsharing360.com)が、カーシェアリング市場を独自に集計したデータ(主要5社)によると、2020年12月時点のステーション数は2019年12月時点に比べ2.1%増加、ステーション車両台数は0.2%増加していることがわかった。
2019年の対前年伸長率(ステーション数:13.2%増加、ステーション車両台数:15.9%)に比べて、2020年はステーション数、ステーション車両台数ともに伸長率を大幅に下げ、ほぼ横ばいで推移した。これには、コロナ禍の影響もあって、タイムズカーシェアの車両台数とオリックスカーシェアのステーション数・車両台数がマイナスに転じたことが大きく影響している。
各サービス提供会社の状況としては、首位「タイムズカーシェア」がステーション数で伸長率(1.0%)は下げたものの、13,145箇所と128箇所増やしている。対して、車両台数は248台減らしており、27,209台となった。業界2位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」は、大手3社の中で唯一ステーション数・車両台数ともに順調に伸ばし、前年と比べステーション数で11.3%増、車両台数で13.4%増となっている。業界3位の「オリックスカーシェア」は、大手3社の中で唯一ステーション数・車両台数とも昨年を下回り、ステーション数が-4.6%、車両台数が-9.0%であった。
カーシェアの利用者数は2020年6月時点で200万人の大台を突破し、2020年中に220万人に達したものと思われるが、詳細な実数については、公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団発表を待ちたい。
主要6社(※)のステーション数は18,000箇所を突破し、2019年12月末から367箇所増加した。また車両台数は88台増加しており、前年同様の約35,000台を維持した。
2020年は、少なからずカーシェア市場も新型コロナウイルスによる生活様式の変化の影響を受けた年であった。しかし、マイナス要因だけではなく、カーシェアが3密回避のモビリティとして注目されたこともあり、会員数は順調に伸ばした。また各社とも、感染症対策として車内に除菌スプレーを搭載する等、新しい生活様式に対応したサービスに注力した。これにより、消費者にとってはますますカーシェアリングを利用しやすい環境が整ったといえる。
2020年は、これまで右肩上がりで伸長してきたステーション数・車両台数がはじめて横ばいに転じた年でもあった。
上記と重複する内容もあるが、ここで2020年を総括してみよう。
【2020年主要トピックス】
1. 伸長率でステーション数は2.1%、車両台数は0.2%!
ともに微増にとどまり、ほぼ横ばいに推移
2020年は、ステーション数と車両台数の増加で、前年の伸長率を大幅に下回り、ステーション数が前年比2.1%増加、車両台数が0.2%増加と前年からほぼ横ばいの推移となった。2019年の対前年比伸長率がステーション数で13.2%増加、車両台数で15.9%増加であったことを踏まえると、急激な減少を示したと言える。こうした伸長率の低下には、コロナ禍による経済活動の抑制も大きく影響していると思われる。
急激なインフラ拡大期を終え、カーシェアリング市場自体が安定成長期に入った2013年以降は、各サービス提供会社とも利用ニーズの高いエリアにおいてドミナント方式による新規ステーション開設や、一ステーションあたりの車両増設へとシフトしていったが、2019年までインフラ拡張は続き、日本のカーシェア市場は右肩上がりで成長し続けてきた。しかし2020年は、ステーション数が前年比2.1%増加、車両台数が0.2%増加にとどまり、インフラ拡張が初めて横ばいに転じることとなった。
「タイムズカーシェア」はステーション数で伸長率1.0%と若干増加したものの、車両台数では-0.9%と約250台の減少となった。「オリックスカーシェア」はステーション数・車両台数をともに減らし、昨年比でステーション数が-4.6%、車両台数が-9.0%となった。対して、業界2位の「カレコ・カーシェアリング」は昨年ほどの増加は見られなかったものの、ステーション数が11.3%増、車両台数が13.4%増と、大手3社の中で唯一インフラ拡張傾向を維持した。
コロナ禍が続く中、大手3社では三者三様の傾向が見られたが、2021年は各社ともに巻き返しを図るものと思われる。
2. カーシェア利用者数全体では200万人を突破!
2020年中に220万人を突破か!?
ステーション数・車両台数共に業界トップを走る「タイムズカーシェア」の会員数は、2020年3月に137万人に到達したことが分かった。「タイムズカーシェア」の会員数増加はまだまだ続いており、2020年中に140万人を突破することが見込まれる。また、「オリックスカーシェア」は、2020年3月時点で会員数が約27万人となり、2019年3月から約4万人増加した。会員数では業界第3位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」は多様な車種の導入と「スマートで楽しいライフスタイル提案」という独自路線により、2020年3月時点で会員数が17万7千人、2020年中に18万人に達したものと予想される。これにより、大手三社だけで会員数が185万人に到達し、名鉄協商のカリテコとホンダ エブリゴーを含めた主要5社では190万人を突破したものと思われる。業界全体では、2020年末段階で220万人程度ではないだろうか。(交通エコロジー・モビリティ財団の発表によると、2019年3月時点でのカーシェアリング会員数は業界全体で2,046,581人とのこと。)
これにより日本の人口に占める会員数の割合は2018年3月の1.34%から1.75%まで上昇した。かつてのカーシェアリング後進国であった日本は、いまや世界第1位のカーシェアリング普及国としてカーシェリング最先進国のスイス(1.31%、2012年時点)を大きく離したものと思われる(※注)。
会員数の増加では、2019年も単年で約20万人を増やした「タイムズカーシェア」の独走状態となったが、「オリックスカーシェア」と「カレコ・カーシェアリングクラブ」も健闘しており、この2事業者が首位「タイムズカーシェア」を追いかけるという上位三強の図式に変わりはない。
こうした3強体制は2021年も継続すると思われ、三事業者を中心に会員数も増加傾向で推移していくものと予測される。2020年は、各事業者のステーション数と車両台数は昨年からほぼ横ばいとなったが、会員数は2021年以降もまだ増加していきそうだ。
※参考:交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」
3. コロナ禍の生活様式の変化でカーシェアに注目が集まる!
各社とも感染症対策に配慮したサービスを実施
2020年の緊急事態宣言の発出による経済活動の抑制は、カーシェア市場にも大きく影響を及ぼした。たとえば、2018年11月から2019年10月まで、すべての月で前年比100%超えの売上高を達成した業界1位の「タイムズカーシェア」を運営するパーク24グループを見てみると、2019年11月から2020年10月の期間では、2020年3月が前年比89.8%、4月は67.8%、5月は66.5%と、昨年に比べ売上を落とした。緊急事態宣言による人々の活動自粛によって、カーシェアの利用が減ったことが原因と思われる。
しかし、2020年6月から9月の売上では前年比80%台、10月の売上では前年比91.5%台まで回復しており、カーシェア利用はコロナ以前の水準にまで増えてきていることがわかる。カーシェア利用の増加の理由としては、3密を避けた移動手段という利点に注目が集まったことが挙げられる。たとえば、「カレコ・カーシェアリングクラブ」を運営する三井不動産リアルティが個人会員を対象に行った「新型コロナウイルス感染症の影響によるカーシェア利用動向の変化」についてのアンケート調査の結果によると、4月以降の新規入会のきっかけは、5人に1人が「新型コロナウイルス感染症の流行」であることが分かった。
このように3密回避のモビリティとして注目されたカーシェアであるが、事業者側も積極的に感染症対策を実施した1年であった。たとえば、各事業者では車内に除菌スプレーを搭載する等、新しい生活様式に対応したサービスに注力した。
既に、1,2で見たように、インフラの増加ではほぼ横ばいであったが、会員数は増え続けているカーシェア。今後も時代のニーズに合わせて、各社ともサービス内容の充実化に努めて行くものと思われる。
4. 法人専用カード「タイムズビジネスカード」が発行枚数100万枚を突破!
タイムズカーシェアは、軽トラックも初導入
タイムズカーシェアを運営するタイムズ24は、タイムズカーシェアや時間貸駐車場のタイムズパーキングなどを利用できる法人専用カード「タイムズビジネスカード」の発行枚数が100万枚を突破したと発表した。 こうした法人利用の需要もあってか、タイムズカーシェアでは個人利用に適した車だけではなく、法人利用に適した車も積極的に導入した。その一例として、タイムズカーシェアはスズキの軽トラック「スーパーキャリイ」を導入。これまでキャラバン等の車種を積極的に導入してきたが、同ブランドで軽トラックの導入は初となった。今後もタイムズカーシェアでは、こうした法人利用車向けの車種を導入していくことが予想される。
5. ホンダ エブリゴーがカーシェアサービス「Dogs with EveryGo」を開始!
一部車両に純正愛犬用アクセサリー「Honda Dogシリーズ」を装着
ホンダ エブリゴーは、一部車両で純正愛犬用アクセサリー「Honda Dogシリーズ」を装着したカーシェアサービス「Dogs with EveryGo」を開始した。これまでホンダ エブリゴーは、大手カーシェア事業者としては唯一、「ペットと同乗できるカーシェア」としてサービスを展開してきたが、「Dogs with EveryGo」では、ただ「ペットと同乗できる」だけでなく、ペットが車内で快適に過ごせるための様々な装備を備えることで「愛犬との楽しいドライブ」を実現してくれるサービスになっている。
Dogs with EveryGoでは、現在、東京、横浜、大阪、福島など都市部を中心に展開しているホンダ エブリゴーの一部車両に、愛犬との楽しいカーシェアライフを実現する「ペットシートプラスわん」を装備し、小型犬1頭または超小型犬2頭まで手席に乗せることができる。また、「ペットシートプラスわん」の内部にはリードフックを装備しており、メッシュカバーを閉めれば愛犬の飛び出しを防ぐことができるので、愛犬を安全に守ることができる。
現在は東京、横浜、大阪に配備される4台に「ペットシートプラスわん」を装着。Dogs with EveryGoの今後の拡大に期待がもたれる。
【免責事項】
※このデータは、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)が独自に収集したデータをもとに構成されています。
※各カーシェアリング提供会社の公式発表データではありませんのでご了承ください。
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