会員数は90万人を突破!?
ステーション数・車両数は、前年よりも高い伸長率で成長を持続!
利便性向上により、いよいよカーシェアリング利用者100万人時代へ。
カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」(http://www.carsharing360.com)が、カーシェアリング市場を独自に集計したデータ(主要5社)によると、2016年12月時点のステーション数は2015年12月時点に比べ17.5%増加、ステーション車両台数は24.0%増加していることがわかった。
2015年の対前年伸長率(ステーション数:15.5%増加、ステーション車両台数:22.0%)に比べて、2016年はステーション数、ステーション車両台数ともに伸長率が高まり、順調に拡大が続いている。また2015年と同様、ステーション数に比べると車両台数の伸長率が大きく、ステーション単位での利用者数や利用頻度は引き続き増加しているものと思われる。
カーシェアの利用者数は90万人を突破し、100万人に到達したものとみられるが、詳細な実数については、公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団発表を待ちたい。
主要5社のステーション数は11,000箇所を突破し、2015年12月末から約1,700箇所増加した。また車両台数は4,000台以上増加しており、21,000台を超えた。
各サービス提供会社の状況としては、2014年に車両台数10,000台の大台に乗せた首位「タイムズ カー プラス」が今期も好調を維持し、2016年には16,000台にまで増やした。業界3位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」は、前年と比べステーション数で53.3%増、車両台数で79.2%増と大幅な増加を記録し、業界2位の「オリックスカーシェア」に迫る勢いを見せるなど、カーシェアリング業界は話題に事欠かない1年であった。
また、カーシェアリングサービスの開始から14年目に入った業界パイオニアの「オリックスカーシェア」は、加熱式たばこ「IQOS」専用の車両を導入、「タイムズ カー プラス」はコンビニ駐車場での設置ステーションを拡大、「カレコ・カーシェアリングクラブ」は100台を超えるメルセデス・ベンツ車を導入するなど、大手3社ともサービス内容の充実化に注力した。利用ハードルの低下に加え使い勝手の良さや用途の拡大がなされたことにより、消費者にとってはますますカーシェアリングを利用しやすい環境が整ったといえる。
2016年は対前年比でステーション数・車両台数ともに伸長率が増加した年でもあった。
上記と重複する内容もあるが、ここで2016年を総括してみよう。
【2016年主要トピックス】
1.ステーション数は17.5%、車両台数は24.0%伸長!
前年より伸長率が高まり、市場はますます成長
2016年は、ステーション数と車両台数の増加で、前年よりも伸長率が高まり、ステーション数が前年比17.5%増加、車両台数が24.0%増加と順調に拡大は続いており、市場はまだ成長期が続いていることが窺えた。
急激なインフラ拡大期を終え、カーシェアリング市場自体が安定成長期に入った2013年以降は、各サービス提供会社とも利用ニーズの高いエリアにおいてドミナント方式による新規ステーション開設や、一ステーションあたりの車両増設へとシフトしていったが、2016年はタイムズ カー プラスが前年同様インフラ拡張を継続(ステーション数伸び率16.4%、車両台数伸び率23.2%)、カレコは利用者数の多い都内にステーションを集約し、ステーション数・車両台数ともに大幅増(ステーション数伸び率53.3%、車両台数伸び率79.2%)、オリックスはステーション数7.3%、車両台数伸び率10.8%と緩やかながらも前年より高い伸長率で増加し、三事業社ともにインフラ拡大傾向を示した。
2020年までに車両台数30,000台を目指すタイムズ カー プラスだけでなく2017年に関西初進出も果たしたカレコも都内で積極的にステーション数と車両台数を増加していることから、2017年も2016年同様にステーション数、車両台数ともに増加がつづくものとみられる。
2.市場規模はついに100万人超え!?
タイムズ カー プラスの会員数が60万人を突破
ステーション数・車両台数共に業界トップを走る「タイムズ カー プラス」は、2016年3月に会員数が60万人を突破した。また、「オリックスカーシェア」は、2016年3月末時点で会員数が14万9千人を超え、2016年中に15万人を超えたものと思われる。業界第3位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」もスバル車をはじめとする多様な車種の導入と「スマートで楽しいライフスタイル提案」という独自路線により、2016年3月時点で会員数が4万人を突破しており、業界全体では会員数が90万人を突破したものと思われる。(交通エコロジー・モビリティ財団による2016年4月25日の発表によると、2016年3月時点でのカーシェアリング会員数は業界全体で846,240人とのこと。)
これにより日本の人口に占める会員数の割合は2015年5月の0.55%から0.66%まで上昇し、カーシェリング先進国のスイス(1.31%、2012年時点)に次ぐ世界第2位を不動のものとすることが確実(※注)。
会員数の増加では、2016年も単年で10万人以上増やした「タイムズ カー プラス」の独走状態となったが、短時間利用で業界最安値料金の「カレコ・カーシェアリングクラブ」も健闘しており、「オリックスカーシェア」と「カレコ・カーシェアリングクラブ」が首位「タイムズ カー プラス」を追いかけるという上位三強の図式に変わりはない。
こうした3強体制は2017年も継続すると思われ、三事業者を中心に会員数も増加傾向で推移していくものと予測される。
※参考:交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」
3.入会促進・利用促進ともに各種キャンペーンを展開
カレコ、「月会費1年間無料」で入会申込数が前年同期間の2倍に!
前年に引き続き、「オリックスカーシェア」は既存会員への利用を促進するキャンペーンに注力した。誕生月の時間料金が1,000円オフ、さらに抽選で1ヶ月分の利用料金が無料となる「お誕生日割」は女性限定のうれしい特典だ。また、利用前日17時時点のYAHOO!JAPAN 天気・災害での、東京または名古屋、大阪、那覇における降水確率が70%である場合、割引対象となる「雨の日割」、水曜日に利用すると25%オフの割引が適用される「水曜割」など、平日稼働を促すための施策にも余念がない。
カーシェアは、入会促進策も重要ではあるが、一定数に達した会員に「どれだけ利用してもらえるか」が収益の鍵となる。今後も、既存会員へのロイヤルティを高める施策が次々と打たれていくことが予想される。
一方、「カレコ・カーシェアリングクラブ」は入会促進キャンペーンで大きなインパクトを与えた。
4月28日から6月30日まで実施した「月会費1年間無料」キャンペーンは期間中に「ベーシックプラン」または「平日プラン」に新規で入会申し込みをし、7月31日までにカーシェアリングの利用を開始した会員に向こう1年間月額会費(980円)が0円となるという思い切った内容であった。このキャンペーン効果により、入会申込数が前年同期間の約2倍となった模様である。同キャンペーンは、夏の行楽シーズンにも行われた。並行して、30時間以上の長時間利用がお得になる「おでかけ割」キャンペーンも実施し、休暇シーズンに旅行などでレンタカーを利用していたような潜在層が、「カレコ・カーシェアリングクラブ」に入会する好機となったと思われる。
このように期間限定キャンペーンの延長、年中定期的になんらかしらのキャンペーンが展開されることが定番化している。今後も入会促進&利用促進の両面において各社キャンペーンは活況を呈していくものと思われる。
4.各事業者ともサービス内容の充実化に注力!
カーシェアリング“大サービス化時代”の幕開け
2016年はインフラ拡張による利便性の高まりと並行して、各事業者ともサービス内容の充実化に注力した1年であった。
まず「タイムズ カー プラス」は、業界に先駆けて法人向けに走行データの無償提供を開始。危険運転などを抑止し、コンプライアンスの浸透を図りたい企業側のニーズに応えたもので、実際にカーシェアを利用する企業からの評価も高いとのことだ。
業界第2位の「オリックスカーシェア」は、これまで給油所の場所を尋ねる問い合わせが多かったことに着目し、ステーションを検索・予約できるアプリケーション(アプリ)でガソリンスタンド(給油所)を検索できるよう機能の改善を図った。機能改善後は法人ユーザーのアプリ利用が増え、顧客満足の向上を実現しているようだ。
また加熱式たばこ「IQOS」専用の車両を導入など、業界初の取り組みもあった。
都内を中心に「カレコ・カーシェアリングクラブ」のサービスを展開するカーシェアリング・ジャパン(CSJ)は、地方での会員のクルマ利用ニーズに対応するため、ニッポンレンタカーサービスと業務提携を行い、会員サービスの充実化を図っている。
カーシェア市場規模の拡大に合わせて成長を維持するためには、各社ともこれまで以上にサービス力を強化することが必須の条件となる。カーシェア利用者のニーズや期待値が高まっていく中、今後は各事業者がサービスで競い合う“大サービス化時代”へ突入していくことになるものと予測される。
5.路上、コンビニ、空き家…。
ステーションの種類増加で、カーシェアリングがもっと身近に!
2016年12月末、国土交通省は、地下鉄「大手町」駅に近接した箇所に、国内初の試みとして道路上のカーシェアリングステーションを設置し、公共交通機関とカーシェアリングの連携強化を図った。実験には小型モビリティによるカーシェアリングが採用され、地下鉄の駅付近に設置することにより、どれだけ利便性が向上するのか、多方面より注目が集まった。
道路上をステーションとしたカーシェアリング活用は画期的な発表となったが、ステーションの幅は他業界との連携により幅が広がりつつある。サークルKサンクスは7月、「タイムズ カープラス」が使えるコンビニエンスストアを北海道・東北エリアで展開すると発表した。これにより、「サークルK」「サンクス」での「タイムズ カープラス」の貸出サービスは、10都道府県の34店舗まで広がった。
また、セキュリティサービス「ALSOK」は、空き家の現場状況確認と投函物の回収・整頓等をおこなう「HOME ALSOKるすたくサービス」を利用しているユーザーに対して、空き家となった期間の駐車スペースをカーシェアリングの車両ステーション活用として提案するサービスを開始した。空き家を所有しているユーザーは車両ステーション設置により、賃料収入を得ることができる仕組みとなっている。
今後もステーション設置にあたり、さまざまな場所が候補に上がることが予想される。利用需要に関わらず、ステーションエリアが拡大することにより、今後、従来使われていなかった用途が見出されていくだろう。
【免責事項】
※このデータは、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)が独自に収集したデータをもとに構成されています。
※各カーシェアリング提供会社の公式発表データではありませんのでご了承ください。
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