カーシェアリング市場動向
2021年第二四半期:主要6社

主要6社合計車両台数は36,000台に回復するも、ステーション数は18,000箇所を下回る。
増加傾向の車両台数に対して、ステーション数は減少傾向。

カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」( http://www.carsharing360.com ) がカーシェアリング市場を独自に集計したデータ(主要6社)によると、2021年第二四半期(2021年4月~6月)のステーション数は2021年3月末に比べ1.0%減少、車両台数は3.3%増加していることがわかった。

2021年第一四半期(対2020年第四四半期 ステーション数:1.0%減、同車両台数:2.3%減)に引き続き、ステーション数は減少となったが、車両台数は増加傾向となった。

主要6社における合計ステーション数は17,813箇所、車両台数は36,025台。事業者別に見ると、前期(675台減少)まで大幅減少が続いていたタイムズカーが今期増加に転じ、1,033台の大幅増加となり、独走状態が続いている。
車両台数が前期116台の増加であった第2位のカレコ・カーシェアリングクラブは、今期は227台増加となった。ステーション数も堅調に133箇所増加(2,798箇所)している。
前期299台の減少であった第3位のオリックスカーシェアは今期車両台数を146台減らし2,542台、-5.4%の伸長率となった。
コロナ渦の影響もあって今期もステーション数は減少傾向となっているが、車両台数はタイムズカーの大幅増加も影響して増加傾向に転じている。

その他の話題としては、カレコ・カーシェアリングがカーシェア全車両に対して、自動ブレーキ、ドライブレコーダー、バックモニターの搭載が完了したことを発表した。また、カレコ・カーシェアリングクラブは、レクサス「NX」と「UX」を導入し、今期も新車種の導入を積極的に行った。
上位3社話題以外では、ホンダエブリゴーがシェアサイクルや小田急電鉄のMaaSアプリとの連携を開始した。また、個人間カーシェアサービスAnyca(エニカ)では、キャンピングカーや商用バンなどが登録可能になった。Anyca(エニカ)では、他にも個人間カーシェアの更なる普及に向けて、個人間カーシェア専用保険を開発。さらに安心安全の取り組みをまとめた「Anyca Safety Vision」を公開した。他にも、コスモ石油系列のサービスステーションでEVシェアリングサービス開始されるなど、さらに利用しやすい環境になると予測されるカーシェアリング。 一方、コロナ渦が、カーシェア業界にどのような影響を与えていくのか、今後も注視していきたい。

主要6社のステーション数、車両台数の推移は以下の通り。

1) サービス提供会社別 ステーション数推移(主要6社 2021.4~6)

2) サービス提供会社別 車両台数推移(主要6社 2021.4~6)

3) 都道府県別 ステーション数推移(主要6社 2021.4~6)

4) 都道府県別 車両台数推移(主要6社 2021.4~6)

【2021年第二四半期主要トピックス】

ホンダエブリゴーがシェアサイクルやMaaSアプリとの連携を開始!
ユーザーは複数の移動手段を組み合わせた移動が便利に

ホンダエブリゴーは、シェアサイクルの「チャリチャリ」、「ハローサイクリング」との提携を4月から開始した。また小田急電鉄のMaaSアプリ「EMot(エモット)」との連携も6月から開始した。
福岡市、名古屋市、東京都台東区・墨田区で展開しているシェアサイクルサービス「チャリチャリ」と東京都、神奈川県などを中心に展開しているシェアサイクルサービス「ハローサイクリング」と連携することで、ホンダエブリゴーの会員はエブリゴーのアプリ上でシェアサイクルの貸出/返却ポートや利用可能な自転車の情報が確認できるようになった。これにより、ご自宅近くからシェアサイクルでカーステーションまで移動して予約したクルマに乗り換えるといったように、スムーズな移動が可能になる。
また、ホンダエブリゴーでは、小田急電鉄のスマートフォン向けMaaSアプリEMotとの連携を6月より開始した。EMotは、電車・バス・シェアサイクル・カーシェアなど、さまざまな移動手段と移動ルートをユーザーに提案してくれるアプリで、今回の提携により移動手段の一つとしてホンダエブリゴーが利用可能になった。これにより、ユーザーはシェアサイクルで駅まで行き、電車に乗って別の駅まで移動し、駅からはカーシェアに乗り換えて移動するなど、複数の移動手段を組み合わせたより便利な移動ができるようになった。

Anyca(エニカ)が個人間カーシェア専用保険を開発!
安心安全の取り組みをまとめた「Anyca Safety Vision」も公開

株式会社DeNA SOMPO Mobilityが運営する個人間カーシェアサービスAnyca(エニカ)は、個人間カーシェアにとって最大の課題は事故やトラブルなどの不安を解消するために、損害保険ジャパン株式会社と共同で個人間カーシェア専用の保険「カーシェアプロテクト」を開発した。
「カーシェアプロテクト」では、事前にクルマに適した補償プランをオーナーが設定し、ドライバーはその保険を契約することで安心安全にカーシェアを利用することができる。主な補償内容は、車両補償金額最大1,000万円。これまで限度額300万円だった車両補償金額に、新たに600万円、1,000万円の選択肢が設けられた。また、運転中以外の事故や盗難も補償範囲となった。さらに詐欺・横領も補償範囲となり、詐欺・横領などの万が一のトラブルによってクルマに損害が生じた場合、設定保険金額を限度に保険金がオーナーに支払われる。他にも、免責金額0円オプションの追加や事故受付用カスタマーサポートが開設された。
また、こうした個人間カーシェア専用保険「カーシェアプロテクト」の提供に合わせて、Anyca(エニカ)は、安心安全の取り組みをまとめた「Anyca Safety Vision」を公開した。「Anyca Safety Vision」では、7月21日から提供が開始される「カーシェアプロテクト」のサポートや修理サポートだけでなく、新たに始まる認定制度、コミュニティガイドラインなど、利用者がより安心・安全に個人間カーシェアを利用できるような新たな取り組みを紹介している。
他にも、オーナーが新たにキャンピングカーや商用バンなどを登録できるようになるなど、個人間カーシェアのさらなる普及拡大に向けて、今期も積極的な動きを見せたAnyca(エニカ)であった。

コスモ石油系列のサービスステーションでEVシェアリングサービスが開始!
サービスステーションには、急速充電器も整備

コスモ石油マーケティングは、セルフ式サービスステーション「セルフピュア新宿中央」で、EVシェアリングのサービス提供とEV(電気自動車)用急速充電器の運用を開始した。
コスモ石油マーケティングは、世界的な脱炭素化社会の実現が求められる中、EVを主軸とした新たなモビリティサービスの創出を試みているが、今回はこの一環としてセルフ式サービスステーションにEVカーシェア車両を配備し、EVシェアリングサービスを提供するとともに急速充電器を整備した。
サービスに用いる電力は、コスモエネルギーホールディングスの子会社であるコスモエコパワーの風力発電によるCO2フリー電力「コスモでんきビジネスグリーン」を活用する。

カレコ・カーシェアリングがレクサス「NX」と「UX」を導入!
今期も新車種の導入に積極的

カレコ・カーシェアリングは、5月25日から「首都圏と関西圏のステーションにレクサス「NX」と「UX」を導入した。
カレコは前期もトヨタの最高級ミニバン「グランエース」など、新車種を積極的に導入したが、今期も積極的に新車種を導入。2022年3月末までに、レクサス「NX300」と「UX200」を各10台ずつ、合計20台を首都圏や関西圏のステーションに順次導入していく予定である。コロナ禍のなか、今期も車両台数が増加したカレコは、来期も積極的に新車種を導入していくことが予想される。