ステーション数は横ばい、車両台数は減車に転じる。
カーシェア・インフラ整備は、二年連続で鈍化。
カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」(https://www.carsharing360.com)が、カーシェアリング市場を独自に集計したデータ(主要6社)によると、2021年12月時点のステーション数は2020年12月時点に比べ2.0%増加、ステーション車両台数は0.7%減少していることがわかった。
2020年の対前年伸長率(ステーション数:2.1%増加、ステーション車両台数:0.2%増加)に引き続き、2021年もステーション数、ステーション車両台数ともに低調に推移した年となった。これには、業界大手のタイムズカーシェアの車両台数とオリックスカーシェアのステーション数・車両台数がマイナスに転じたことが大きく影響している。
各サービス提供会社の状況としては、首位「タイムズカーシェア」がステーション数で伸長率(0.9%)は下げたものの、13,257箇所と112箇所増やしている。対して、車両台数は587台減らしており、26,622台となった。業界2位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」は、大手3社の中で唯一ステーション数・車両台数ともに順調に伸ばし、前年と比べステーション数で15.6%増、車両台数で13.3%増となっている。業界3位の「オリックスカーシェア」は、大手3社の中で唯一ステーション数・車両台数とも昨年を下回り、ステーション数が-12.1%、車両台数が-14.2%であった。
カーシェアの利用者数は2021年3月時点で約225万人まで到達。2021年末に250万人に達したものと思われるが、詳細な実数については、公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団発表を待ちたい。 主要6社のステーション数は約18,500箇所と、2020年12月末から364箇所増加した。一方、車両台数は251台減少しており、前年同様の約35,000台に留まり、前年から二年連続でステーション数・車両台数の伸びが鈍化した。
2021年は、前年に引き続き新型コロナウイルスによる外出自粛や生活様式の変化の影響を受けた年であったが、カーシェア会員数は堅調に伸びてお各社とも、感染症対策として車内に除菌スプレーを搭載する等、新しい生活様式に対応したサービス提供が標準化された。
上記と重複する内容もあるが、ここで2021年を総括してみよう。
【2021年主要トピックス】
1. ステーション数は2.0%増、車両台数は-0.7%と減車に転じる
2021年は、前年に引き続きステーション数と車両台数ともにインフラ整備は鈍化した。これについてはコロナ禍による外出自粛や経済活動の抑制も一定割合で影響していると思われる。
カーシェアリング市場自体が安定成長期に入った2013年以降は、各サービス提供会社とも利用ニーズの高いエリアにおいてドミナント方式による新規ステーション開設や、一ステーションあたりの車両増設へとシフトし、2019年までインフラ拡張は右肩上がりで成長し続けてきた。しかし2020年、2021年と二年連続で鈍化することとなった。
「タイムズカーシェア」はステーション数で伸長率0.9%と横ばい、車両台数では-2.2%と587台の減少となった。「オリックスカーシェア」はステーション数・車両台数をともに減らし、昨年比でステーション数が-12.1%、車両台数が-14.2%となった。対して、業界2位の「カレコ・カーシェアリング」は、ステーション数が15.6%増、車両台数が13.3%増と、昨年につづき大手3社の中で唯一インフラ拡張傾向を維持した。
コロナ禍が続く中、大手3社では三者三様の傾向が見られた。2022年は長引くコロナ状況に対して各社がどのような舵取りをしていくのか注目だ。
2. オリックスカーシェアが料金改定とサービス内容を変更
10月、オリックスカーシェアが料金プランの一部改定とサービス内容の変更を行った。
料金プラン改定の主な内容は、「6 時間以内の予約・利用の距離料金 16 円/kmの無料化」・「予約取消手数料の予約開始時刻前までの無料化」・「夜間パックの2時間繰り上げ」・「一部車種のミドルクラスからスタンダードクラスへ移行」・「プライムステージプログラムの優待サービスの特典追加」であり、利用者によってメリットあるものとなった。一方、料金改定については、月額基本料金840円が880円に変更され40円UP、利用料についても車種クラス毎にばらつきはあるものの全体的に値上げとなった。
3. カレコ・カーシェアリングが名古屋市内で本格サービス開始!
地方都市へのエリア拡大に積極姿勢
カレコ・カーシェアリングは、8月23日から名古屋市内で本格的にサービスを開始した。これまで東海地区においては、名鉄協商カリテコとの連携による限定的な展開であったが、自社運営で約30カ所のステーションを開設し、2017年の関西圏進出以来のエリア拡大を図った。スバル「レヴォーグ」、マツダ「ロードスター」、トヨタ「新型ハリアー」などSUVタイプやスポーツカーなどを中心に人気車種を導入し、全車両への安全装備(自動ブレーキ、ドライブレコーダー、バックモニター)も完備。豊富な車種ラインナップを武器に、東海三県在住の個人ユーザーの囲い込みを推進している。
また、10月からは、仙台市内・福岡市内・広島市内にてサービスを開始。その後仙台市内では19か所、福岡市内では24か所、広島市内では22か所のステーションを増設しエリア展開に積極姿勢を示した。
4. Anyca(エニカ)が個人間カーシェア専用保険を開発!
安心安全の取り組みをまとめた「Anyca Safety Vision」も公開
11月、株式会社DeNA SOMPO Mobilityが運営する個人間カーシェアサービスAnyca(エニカ)は、個人間カーシェアにとって最大の課題は事故やトラブルなどの不安を解消するために、損害保険ジャパン株式会社と共同で個人間カーシェア専用の保険「カーシェアプロテクト」を開発した。
「カーシェアプロテクト」では、事前にクルマに適した補償プランをオーナーが設定し、ドライバーはその保険を契約することで安心安全にカーシェアを利用することができる。主な補償内容は、車両補償金額最大1,000万円。これまで限度額300万円だった車両補償金額に、新たに600万円、1,000万円の選択肢が設けられた。また、運転中以外の事故や盗難も補償範囲となった。さらに詐欺・横領も補償範囲となり、詐欺・横領などの万が一のトラブルによってクルマに損害が生じた場合、設定保険金額を限度に保険金がオーナーに支払われる。他にも、免責金額0円オプションの追加や事故受付用カスタマーサポートが開設された。
また、こうした個人間カーシェア専用保険「カーシェアプロテクト」の提供に合わせて、Anyca(エニカ)は、安心安全の取り組みをまとめた「Anyca Safety Vision」を公開した。「Anyca Safety Vision」では、7月21日から提供が開始される「カーシェアプロテクト」のサポートや修理サポートだけでなく、新たに始まる認定制度、コミュニティガイドラインなど、利用者がより安心・安全に個人間カーシェアを利用できるような新たな取り組みを紹介している。
他にも、オーナーが新たにキャンピングカーや商用バンなどを登録できるようになるなど、個人間カーシェアのさらなる普及拡大に向けて、今期も積極的な動きを見せたAnyca(エニカ)であった。
【免責事項】
※このデータは、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)が独自に収集したデータをもとに構成されています。
※各カーシェアリング提供会社の公式発表データではありませんのでご了承ください。
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