急激成長期を終えて安定成長期へ入った2012年に続き、2013年もステーション数、車両台数ともにまだまだ堅実に伸長することが予想される。また、各サービス提供会社による新サービスの積極的な展開などにより、カーシェアリング利用者も安定的に増加していくことが予測される。
以下では、2012年の市場動向と主要トピックスをもとに、2013年カーシェアリング市場動向を予測してみる。
2013年カーシェアリング市場動向予測
1.「平日フル稼働」を目指して、各サービス提供会社が独自プランを展開!法人会員獲得にも注力!
2012年までに一定のインフラ基盤の整備を終え、2013年は各社とも新たな利用者獲得を目指してサービス強化に注力していくことが予測されるが、中でも課題となるのが平日の未稼働車両の運用であろう。
これまでのカーシェアリングのメインユーザーは30代~40代の世代で、主に土日祝日に利用することが多い層であった。そのため土日祝日は車両が高回転で稼働するものの、平日は未稼働というステーションが少なくない。こうした状況を打開するために、各社とも平日稼働を目指して、新たな利用者層を開拓していくものと予測される。
その施策の一つが、「平日プラン」の設定であろう。「平日プラン」は既に「カレコ」が展開しているが、サービス提供会社でも子供の送迎や買い物に利用する主婦層をターゲットに「平日プラン」を新設する可能性があると思われる。
また、個人会員の獲得以上に、各社とも積極的な施策を打ってくると予測されるのが、法人会員の獲得である。日本経済が低迷し続ける中、コスト削減を模索する企業に対して、これまで利用していたカーリースなどの社用車に代わる安価な代替手段としてカーシェアリングを提案し、法人会員獲得に益々強く乗り出していくと思われる。
2.利用者のニーズにマッチしたサービスラインナップの多様化!新たな利用者層の開拓へ!
「1」でも述べたように、2013年は各社ともにあらたな利用者獲得のためのサービス強化に注力していくことと思われる。「平日プラン」や「法人プラン」の他にも、新たなプランの設定などサービスラインナップの拡充によって、これまでカバーしきれなかった新たな利用者層の開拓に着手してくるのではないだろうか。
その一例が、2013年に入って新設された「カレコ」の「3時間パック」である。これまでカーシェアリングの利用方法としては、10~15分単位で借りる短時間利用か6時間パックなどで借りる長時間利用しかなかった。しかし、買い物などで利用する場合、1~2時間の予約では短すぎるし、6時間パックの予約では長すぎるため、中時間(2~3時間)利用したいという利用者のニーズがあった。「カレコ」の「3時間パック」は、こうした利用者のニーズに応えたものと考えられる。この「3時間パック」の登場により、これまで入会を見送っていた主婦などが新たな利用者層となることに期待がもたれている。
また、新たな利用者層の開拓と既存ヘビーユーザーの誘引の施策として、料金プランの改訂だけでなく、各社とも様々な世代のライフスタイルやニーズにマッチしたサービスラインナップの整備に乗り出していくことが予測される。
例えば、2012年に見られたハイエンド車種の導入もその一例であるが、その他にも独自サービスの展開などにより、今後各社のサービスラインナップはますます多様化していくと考えられ、入会希望者は自身にもっとも適合したサービス提供会社をしっかりと吟味して入会していくものと予想される。
3.自動車メーカーなど他業界との業務提携が加速!シナジー効果により、利用者にもメリットが!
2012年に引き続き、2013年もカーシェアリングサービス提供会社と他業界の業務提携は積極的に行われていくであろう。
既に2013年に入って、業界第1位の「タイムズプラス」の運営会社タイムズが、西日本旅客鉄道及びJR西日本レンタカー&リースとカーシェアリング事業での業務提携を発表し、今春をめどに関西主要駅10カ所程度でカーシェアリングを展開することを予定しているが、こうした流れは今後さらに加速していくと思われる。
また、2012年に見られた国内自動車メーカーとの業務提携関連では、自動車メーカーがカーシェアリングをこれまでディーラーへ足を運んだことのない消費者に訴求できる絶好の「試乗車」と考え、販売促進につながると期待しているようだ。これはカーシェアリング市場にとって好材料となりそうである。カーシェアリングサービス提携会社にとっても車両調達にかかるコストの削減とサービスラインナップの多様化というメリットを期待できるため、双方にとってメリットがあるこの業務提携は、2013年もますます広がっていくことが予想される。
その他、マンションディベロッパーとの業務提携の話題も、2012年と同様に定番化しそうだ。
こうした業務提携の相乗効果によって生み出されるメリットは、提携事業者双方にだけでなく、利用者側にもある。旅行先や自宅マンションの駐車場で手軽にクルマを利用できたり、自家用車購入の前の検討手段として利用できたりするため、業務提供は利用者にとっても嬉しい話題であろう。
これらの流れは2013年に入ってますます加速していくと考えられるが、「とりあえず一番近いステーションのある会社に入会する」から利用者が自身にとって最もマッチしたサービス提供会社をしっかりと見極め、選択する段階に入っていくものと予測される。
【免責事項】
※このデータは、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)が独自に収集したデータをもとに構成されています。
※各カーシェアリング提供会社の公式発表データではありませんのでご了承ください。
【当資料の取扱いについて】
メディア・報道関係者の方で、データ素材(Excel形式)をご希望の方は、「お問い合わせ」よりご連絡ください。
当資料の転載、引用は自由に行っていただくことができます。その際にはクレジット表記として
「出典:カーシェアリング比較360°」
の記載と当サイトへのリンク設定をお願いいたします。